vol.035 ふわりとまとって、新たな装い
お気に入りの一枚と出逢うために

カーテンやラグ、クッションカバー、ベッドリネン・・・
インテリアにファブリックを取り入れてはいても、引っ越した当時と同じ物を
使い続けている、ということが多いかもしれません。
けれどもファブリックは、手軽ながらも住まいの印象をがらりと変える力を
秘めているもの。
そんなファブリックが持つ魅力や選び方を、インテリアコーディネーターの
佐伯隆子さんに教えていただきました。

01 「お気に入りの一枚と出逢うために
02 住まいを素敵に装う最新のファブリックコーディネート
03 アートとしても楽しみたい
北欧のファブリック
インタビューバックナンバー
今月の特集

佐伯隆子さん(三井デザインテックインテリアコーディネーター)

暮らしをともにする“一枚”を見つけるために
布は、空間に陰影とうるおいをもたらす

ファブリックの魅力は、何といってもその質感ではないでしょうか。布の質感は、糸の種類や織り方、表面処理の仕方などによって、さまざまな違いを楽しめるものなんです。
例えば糸なら、短い繊維と長い繊維、織り方なら密なもの、ざっくりしたもの、表面はツルツルしているのか、ふわっとしているのか・・・。インテリアのイメージは、こうしたファブリックのもつ質感によって変わってくるものです。
そしてこの質感は、ファブリックをどう使うかによってさまざまな表情を見せてくれます。例えばカーテンを閉じているとき、しなやかに波を打つ布はやわらかな陰影を生み出し、空間に奥行きをもたらしてくれます。そこに照明があたれば、ぬくもりを感じさせる織り目の凹凸が浮かび上がり、空間がうるおうのです。こうした表情豊かな空間の演出は、ファブリックならではのものでしょう。

Duna col.3(クリエーション バウマン)

質感を知るために指先で触れてみる

ファブリックの質感を確かめるためには、まず指先で触れて、触感を感じ取ってほしいと思います。指先で触れるだけでも、ファブリックの持つ質の違いがよくわかるものなんです。ただし、触感がいいものは、高価なものであることも少なくないんですよね。そうしたファブリックを、布を大量に使うカーテンなどに用いると、予算が見合わなくなることもあるかもしれません。そういう場合は、住まいのアクセントとなるファブリックのみ、高価な布を取り入れてみるというのも一案です。クッションカバーなどがいい例ですね。
クッションは、胸に抱いたり、頭の下に敷いたり、肌に触れる機会も多いので、質感にこだわってみてはいかがでしょうか。たとえ高価な布を用いたとしても、それほど布の量が多くはならないので、取り入れやすいと思いますよ。

インテリアのイメージを自由に決めよう。

ファブリックを選ぶときは、質感にこだわったうえで、素直に「好きだな」「素適だな」と思うものをセレクトすればいいわけですが、いざ、ずらりと並んだファブリックを目の前にすると、あれこれ迷ってしまうかもしれません。そこで、ファブリックを取り入れるときは、まず自分が目指すインテリアのイメージを決めてみてください。雑誌のグラビアなどを参考にしてみてもいいですね。カーテンだけではなく、テーブルクロス、ランチョンマットなど、すべてのファブリックを同じイメージで選び、統一感をもたせておくと、まとまりのあるインテリアに仕上がっていくことでしょう。

キャッチコピーで部屋のイメージをふくらませて

インテリアのイメージに合わせて、雑誌の見出しで見かけるようなキャッチコピーをつけるのも楽しいですよ。具体的ではなくても、例えば「ゆったり、リラックス」というように、気分で言葉を考えてみてもいいと思うんです。すると同じ色のファブリックを選ぶときにも、濃い色よりは淡くてやわらかい色がいいかな、というように布選びが自然と定まっていきますよね。
このキャッチコピーは、お客様を招くときにも使えるんです。お客様に合わせて「スタイリッシュにカッコよく」「のんびりおしゃべり」など、テーマ設定をしてファブリックを選んでいくと、わくわくしてきますよ。クッションやテーブルクロス、ランチョンマット、ソファーのカバーなどは手軽に変えられるので、お客様や季節に合わせてパターンをいくつか用意しておくといいかもしれませんね。

イマジネーションが広がるファブリックの色選び
ファブリックは、バリエーション豊かなカラーを楽しめるのも魅力。ただ、バリエーションがありすぎて迷ってしまうことも少なくないでしょう。そこで色選びのポイントについて、佐伯さんに教えていただきました。
空間を広く見せたいなら明度が高い色のカーテンに

ファブリックの中でも、部屋の印象を大きく左右するのがカーテンです。布の面積が広く、こまめに変えられないだけに、カーテンにはとことんこだわりたいもの。部屋を広く見せたいなら、壁と窓が一体化して見えるような色を選ぶのがおすすめです。例えば壁が白いなら、オフホワイトやベージュ、生成りといった白っぽいカーテンを選ぶといいでしょう。
ただし、単に白い壁に近い色というポイントだけで布を選んでしまうと、色味に欠けてつまらなくなってしまうかもしれません。ちょっと落ち着きすぎてしまうかな、と思ったら、薄く色味がかっているようなファブリックを選んでみてはいかがですか。「ピンクが好き」という人なら、淡いピンクや、グレーがかったピンクなどを選ぶといいでしょう。色が濃くなると、カーテンを閉めたときにどうしても圧迫感が出てきてしまいますから。 黒などのようなインパクトの強い色や、ヴィヴィッドな柄物などをカーテンに取り入れてみたいというときは、ちょっと冒険になりますので、まずはお客様の目に触れない寝室などで試してみるといいのではないでしょうか。

Alanis col.12(クリエーション バウマン)

Brer Rabbit(ウィリアム・モリス)

部屋でくつろぎたいならパステルカラーを選ぼう

色を選ぶときには、その生理的・心理的影響についても知っておくといいかもしれません。例えば薄い色には、筋肉を緩ませるという作用もあるといわれています。自宅にいるときには、やはりくつろぎたいですよね。また、青い色は快眠を誘うともいわれているので、寝室に向いているかもしれません。ただし好みもあるので、色の持つ作用にこだわりすぎず、自分自身の感覚を優先させてもいいと思います。色選びに迷ったときには、こうした作用も参考にしてみるといいでしょう。

カーテンとの相性を考えたファブリック選びを

カーテン以外のファブリックを選ぶときも、カーテンの色との相性を意識することでインテリアがまとまりやすくなります。取り入れやすい方法としては、カーテンの柄などに入っている1色をほかのファブリックに使うというテクニック。ファブリック同士につながりを感じることができるため、空間がしっくりとまとまります。
カーテンの反対色をアクセントカラーとして取り入れるという方法もあります。例えばカーテンがグリーン系ならクッションは赤、カーテンがブルー系ならラグはクリーム色というように、反対色を差し色のように使うだけで、カーテンの色が引き立つんですよ。

Poesia Collection(クリエーション バウマン)

照明との組み合わせにも目を向けてみましょう

また、ファブリックと光との組み合わせを意識すると、インテリアがワンランクアップします。たとえば寝室など、白熱灯でほの暗いライティングをしている部屋には、いぶしがかかったようなゴールドやシルバーの布、ビーズやスワロフスキーの飾りをあしらったファブリックを取り入れてみてください。すると、光があたったときに反射して美しくきらめくんですよ。
こういった素材を使うときには、どんな照明をどのようにあてるのか、といったことを考えると、インテリアがより立体的になり、深みが増していきます。もしくは、自分のお気に入りのファブリックをクリップライトで照らす、という楽しみ方もありますね。

“ホワイト・オン・ホワイト”で凛とした空間に

より繊細なカラーコーディネートの方法として、同じ色のファブリックを質感違いでそろえるという方法があります。これは「かさね」と呼ばれる、日本古来の着物の文化にも見られるテクニックなんですよ。
そのひとつが「氷がさね」。白い着物に白い着物を重ねる、平安時代の着こなし術で、冬に氷が張ったさまを表現したものなんです。この方法は、インテリアにも活用できそうだと思いませんか。同じ白い布でも、光沢のあるもの、モコモコしたもの、ビ−ズがあしらわれているものなど、質感にはいろいろありますよね。こうした質感違いの白い布をクッションカバーとマルチカバー(ソファーカバー)に用いて、“ホワイト・オン・ホワイト”を楽しんでみてはいかがでしょう。静かな冬景色をイメージさせる、凛とした空間作りができると思います。
また、2007年のミラノサローネ(国際家具見本市)では、黒い床に黒いラグなど“ブラック・オン・ブラック”が流行っていました。黒い床ならグレーやブラウンなどが入ったものを組み合わせがちですが、質感の違うブラックが重なると、ぐっとスタイリッシュになるんですよ。

生地の肌触りを体感し、ファブリック選びが愉しめるショールーム・セレクション

あまり知られていないかもしれませんが、ファブリックにもさまざまなブランドがあるもの。そうしたブランドの特徴を知っておくと、ファブリックを選ぶ楽しみはさらに広がるに違いありません。そこでおすすめしたいのは、ファブリックに直接触れることができるショールームめぐりです。そこでここでは、佐伯先生おすすめのファブリックブランドと、その魅力を知ることができるショールームをご紹介しましょう。



FISBA(フィスバ)
200年余りの歴史を誇る、スイスの高級インテリアファブリックメーカー。世界最高峰といわれる縫製は「フィスバ縫製」と呼ばれ、縫い目が表に出ない美しい仕上がりが特徴です。シルクの豊富さでも有名。


日本フィスバ東京ショールーム
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー7F リビングデザインセンターOZONE
営業時間 10:30〜19:00
定休日 水曜(祝日の場合は開館)
http://www.ozone.co.jp/showroom_shop/showroom/fisba/



Creation baumann(クリエーションバウマン)
1886年にスイスで誕生したファブリックメーカー。インテリアファブリックの先駆者として、数々の新しい技術を生み出しています。バーチカルブラインド(縦型のブラインド)は、息の長い人気商品。ホワイトやレースのファブリックも高い評価を得ています。


クリエーションバウマン東京ショールーム
品川区東五反田5-25-19 東京デザインセンター4F
営業時間 月〜金 10:00〜18:00 土 10:00〜17:00
定休日 日曜・祝日
http://www.creationbaumann.jp/



William Morris(ウィリアム・モリス)
近代デザインの創始者といわれ、詩人・社会思想家でもあったイギリス人のウィリアム・モリス。彼のデザインは家具や書籍など多岐にわたりましたが、なかでも自然の樹木や草花をモチーフとしたテキスタイルデザインは、時代を超えて人気を博しています。


マナトレーディング東京ショールーム
東京都目黒区上目黒1-26-9 中目黒オークラビル4F
営業時間 9:30〜19:00
定休日 年末年始
http://www.manas.co.jp/



タチカワブラインド
「人に優しい快適な環境作り」をテーマに、ブラインド、ロールスクリーン、間仕切りなどのウィンドウ周りの製品を扱っています。環境に配慮した新素材の使用やリサイクル化の取り組みに積極的なブランドです。


タチカワブラインド銀座ショールーム
東京都中央区銀座8-8-15
営業時間 10:00〜18:00
定休日 日曜・月曜・祝日
http://www.blind.co.jp/



サンゲツ
「トータルインテリア」という考え方をもとに、カーテン・椅子生地・壁紙・床材などを企画開発しています。デザインだけではなく、日本の生活文化と風土に適した機能性を追求しています。


サンゲツ東京ショールーム
東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル3F
営業時間 10:00〜18:00
定休日 森ビル休館日・年末年始
http://www.sangetsu.co.jp/



フジエテキスタイル
モダンでシンプルな美しさを基本として、独自の商品を開発しているインテリアファブリックメーカー。日本発のオリジナルファブリックとして、欧米の高級テキスタイルメーカーにも評価されています。


フジエテキスタイル東京ショールーム
東京都渋谷区代々木4-44-10 トーシンビル5F
営業時間 月〜金 10:00〜19:00 土日 10:00〜17:00
定休日 日曜・祝日
http://www.fujie-textile.co.jp/

インテリアの印象を手軽に変えてくれるものでありながら、知れば知るほど奥が深いファブリック。ファブリックを見る目が、これまでとは違ったものになりそうです。次のコーナーでは、ファブリックの魅力をより素適に活かすためのコーディネート術をご紹介していきます。

住まいを素敵に装う最新のファブリックコーディネート

佐伯隆子(さえき・たかこ)

Name:
佐伯隆子(さえき・たかこ)
Profile:
インテリアコーディネーター、カラーコーディネーター、二級建築士。海外旅行会社、広告企画会社を経て、町田ひろ子インテリアコーディネーターアカデミー、桑沢デザイン研究所でインテリアを学ぶ。現在はインテリアコーディネートのほか、住宅の設計、リフォームなども行う。三井デザインテックのインテリアコーディネーターとしても活躍中。

プロによる理想の空間作りが実現するインテリアショップ
LIVE LABO
今回ご紹介したサロン「LIVE LABO(リブラボ)」では、インテリアコーディネーターが、住まいやライフスタイル、好みに合わせたインテリアを提案してくれます。(※完全予約制)
また、国内外さまざまなメーカーの家具やファブリックなどが、幅広く揃っているので、ショップを何件も歩き回る必要がありません。約5,000点という生地サンプルは、国内最大級です。
東京都渋谷区神宮前5-53-67コスモス青山WEST2F
営業時間 10:00〜18:00(完全予約制)
定休日 水曜
http://www.livelabo.com/showroom/

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