vol.031 住まいに仕掛ける“光のマジック”
光の力を住まいに生かす、空間別・照明コーディネート術

特集『“光のマジック”で、心にやさしい住空間を』では、
照明コンサルタントの中島龍興先生より
照明は光の色味や設置する高さなどによって、
心や体に異なる効果を与えるものだということをお話いただきました。
ここではそんな“照明がもたらすマジック”を
最大限に楽しめる照明コーディネート術を、
中島先生にご紹介いただきましょう。

“光のマジック”で、心にやさしい住空間を

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中島龍興照明デザイン研究所 中島龍興先生
Entrance  玄関|やさしい光で歓迎の雰囲気を演出しましょう

玄関は家族やお客さまを迎え入れる空間。その家の第一印象を与える場所でもあるので、温かい歓迎の雰囲気を作ることが大切です。
まず、メインの照明には温かみのある光をお使いください。明るすぎる空間は人を寄せつけない雰囲気を作ってしまうので、煌々と輝く照明器具を目線の近くに取りつけないほうが無難でしょう。プラスアルファとしては、靴箱のうえに花や絵画などを飾り、小さなスタンドライトを見えないところに置いてライトアップしたりするといいですね。もし玄関に電源がない場合は、代わりに充電式のLEDライトなどを活用するのもいいでしょう。

Living Room  リビングルーム|“劇場”を作るイメージで照明をレイアウト。

リビングルームの照明は、“劇場”をイメージした照明コーディネートを意識してみてください。人を主役と考えるのではなく、インテリアが主役になるようコーディネートをすることがポイントです。そこにお気に入りの家具や調度品があるなら、それらに光があたるよう照明をレイアウトする。人はそのインテリアを鑑賞する“観客”であると考えるので、人に直接ライトはあたらない、というわけなんです。
リビングルームといえば、テレビなどのオーディオビジュアル機器もディスプレイされている空間。家族や友人と集うときも、映画鑑賞をしながら・・・というシーンが多いことでしょう。そんな空間だからこそ、照明コーディネートにはアームの角度が自由に変えられるスタンドライトを取り入れるといいですね。
たとえばプロジェクターで映画を楽しむときは、部屋の明かりを暗くしなければならないですよね。そんなときに明かりを取りたい場合は、アームスタンドの照明を天井にあて、間接照明として使用するといいと思います。この場合、透過性のあるシェードを使った照明器具を用いると、光が拡散してしまい、スクリーンの画面に影響してしまいますので注意してください。光を透過しないシェードを使った、照明の角度を自由に変えられるフロアスタンドを選ぶといいでしょう。
角度を自由に変えられる照明を取り入れると、映画鑑賞をしながら手元に明かりがほしいというときに、手元だけに光をあてることができるのでとても重宝します。さらに明るさを調整できる『調光器』も取りつけば、明るさを好みに合わせて調整できるのでより快適ですよ。

photo : TKO-M. architects
photo : TKO-M. architects
Dining Room   ダイニングルーム|食事をおいしく感じられる“雰囲気作り”にこだわって

ダイニングルームの照明を考える場合、お皿の上に乗った食材がおいしく見える光源にこだわることは大切な要素。でも、それだけでは必ずしも十分ではないと思うんです。
たとえば水を飲む際に、同じ水であっても紙コップで飲むよりクリスタルグラスのコップで飲むほうがおいしく感じられるもの。同じように、食事を楽しむためには、料理そのものがおいしそうに見えるだけではなく、その料理を入れている食器やそのわきに飾られた花、クロスの風合いなど、テーブル周りの雰囲気全体が美しく見えることも大切なんです。キャンドルやシャンデリアなど、点で光を発する照明は、料理のツヤだけでなく、食器や花瓶などにもキラキラとした輝きを与える効果があるので、ダイニングを演出する光源としておすすめのひとつ。こうした照明を取り入れる場合、メインの照明は明るさを落としておくとより効果的です。

Bath Room  バスルーム|調光器を取り入れれば、手軽にくつろぎを演出できる。

バスルームといえばくつろぎの空間。お風呂が好きな方の場合、バスタイムが1時間ぐらいになることも珍しくないと思いますが、その間、まぶしい明かりを浴び続けていてはなかなかくつろぐことができません。とはいえ、水周りということもあり、照明演出を試みるのは難しそうだと考えられる方も少なくはないでしょう。
そこでおすすめしたいのが、防湿性のある調光器です。備えつけの浴室灯に取りつけるだけで、照明の明るさを自由に調節することができますので、とても手軽です。ほの暗い空間で、リラックスしたひとときを味わってみてください。

Bed Room  寝室|眠りにつく前は目に光を直接入れないことが大切

寝室の明かりは「明るすぎない温かい光」を用いるのがポイントです。光源の種類としては、白熱灯や電球色の蛍光灯など、温かみのある光がいいと思います。ベッドに横になったとき目に光が入ってこないよう、ベッドからある程度離れた場所に照明器具を置くといいですね。
照明器具のタイプとしては、やわらかい光がもれてくるようなシェードランプがおすすめです。ベッドサイドの読書灯は、光が顔にあたらないよう、できるだけ本を照らすようにレイアウトするといいでしょう。

Kids Room  子ども部屋|視力や色彩感覚の発達に配慮した照明を

視力が未発達の段階にある子どもにとって、いい照明環境を用意してあげることはとても大切なことです。
乳児の場合は、夜は真っ暗な部屋のなかで寝かせてあげるよう気をつけてあげてください。アメリカの研究では、乳児を明るい部屋で寝かせていると成長後に近視になりやすいことがわかっています。
また、小学生や中学生になり勉強する時間が長くなる時期は、机の上の照明には気を使わなければなりません。一般の蛍光灯は、周波数の関係で肉眼では認識できないレベルでのチラつきがあり、視力に悪影響を与える恐れがあります。白熱灯や、目の健康に配慮した直流点灯型の照明器具などを使ってください。さらに、部屋のメインの照明もしっかりと明るくしてあげることが大切です。
メインの照明に関しては、蛍光灯を使っても視力への影響はありません。ただし、蛍光灯よりも白熱灯のほうが平均的な色の再現性に優れているため、色彩感覚が成長途中にある子ども部屋には、白熱灯をメインの照明にも取り入れるということは、おすすめだといえますね。目のトレーニングにも効果的です。

住まいのなかにあるさまざまな空間。中島先生が教えてくださったように、それぞれの部屋が持つ役割に応じて照明を変えていけば、毎日の生活に素敵なリズムが生まれてきそうですね。今まで照明コーディネートに挑戦したことがなかった方も、今回紹介したコーディネートのどれかひとつでも試していただければ、“照明がもたらすマジック”を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

知っておくと照明がさらに楽しくなる!光の基礎知識 〜照明の単位編〜

照明ともっと仲良くなるために一家に一台、照度計を用意してみよう

照度とは、自然光や人工照明などで照らされた場所の明るさのことで「ルクス」という単位で表されます。照度にはJIS(日本工業規格)によって推奨されている「照度基準」というものがあり、リビングルームなら団らんに最適な照度は150〜300ルクス、読書にふさわしいのは300〜750ルクス、寝室の場合は10〜30ルクスが最適だとされています。
照明にこだわってみたい方は、こうした照度を計ることができる「照度計」を用意してみてはいかがでしょうか。プロの専用機器という印象がありますが、意外に手ごろな価格で購入ができるのです。“光のマジック”を楽しみたいという方にはおすすめです。

照度計T-10/コニカミノルタセンシング

照明の明るさや色味などを表す単位にはさまざまなものがあります。上で紹介した照度もそのひとつですが、それ以外にも知っておくと便利な照明単位を、中島先生にご紹介いただきたいと思います。

【色温度】
白色光のなかで青みが強いか赤みが強いかによる光色の違いを表す単位で、ケルビンという数値で表される。正午の太陽は約5500ケルビンで、昼光色蛍光ランプがそれに近い約5000ケルビン。日が沈むときの太陽は約3000ケルビンで、白熱電球や電球色の蛍光ランプがそれとほぼ同じ色温度。

【輝度】
光源自体の明るさや、照らされた面から反射される光の明るさを表す。照度が同じでも、黒い紙より白い紙のほうが光をよく反射するため、輝度が高いと表現できる。

【演色性】
その光源が、物体の色をいかに忠実に再現して視覚に伝えているかを表す。肌の色がきれいに見えるかどうかなどは、この演色性が関係してくる。

中島龍興(なかじま・たつおき)

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中島龍興(なかじま・たつおき)
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中島龍興照明デザイン研究所代表。1969年にヤマギワへ入社後、LDヤマギワ研究所、TLヤマギワ研究所の所長を経て、1998年に同研究所を設立する。日本照明学会専門会員、北米照明学会会員、日本インテリアデザイナー協会会員、照明文化研究会会員。文化女子大学、北海道東海大学、九州産

業大学非常勤講師。北京理工大学客員教授。主な受賞歴に北米照明デザイン賞、JID賞、SDA賞など。「明かりと照明の科学」「照明デザイン入門」(以上、彰国社)、「照明[あかり]の設計」(建築資料研究社)など著書も多数。

 

“光のマジック”で、心にやさしい住空間を

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