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まず最初に、“光”はどのようなメカニズムで私たちの心や体に影響をもたらしているものなのか、教えてください。
私たち人間は、朝日が出れば体が覚醒し、心はアクティブな状態になりますよね。そして太陽が沈む夕方になると、体は一日の終わりを感じて休息状態になり、心はリラックスする。こうした反応は、太陽のサイクルに合わせて心身をコントロールするよう脳内にプログラムされているために起こるものなんです。このプログラムが「体内時計」と呼ばれているものなのですが、こうした反応は太陽光に対してだけでなく、電灯の“光”に対しても似たように表れることがわかっています。
「体内時計」と“光”の関係を知っておくと、どのようなメリットがあるのでしょう?
たとえば朝食を食べるときは、自然光のようなさわやかな白い光で過ごし、夜、帰宅したあとはオレンジ色の暖かい光で過ごす。こうした照明の変化が、1日のうちに少なくとも2回あれば、オンとオフの切り替えがスムーズに行われて気持ちいい心のリズムが生まれますよ。逆に、こうした自然光のサイクルとかけ離れた光環境で生活をしていると、せっかちになったり、イライラしやすい傾向もみられるんです。
自然光のサイクルとかけ離れた光環境とは、具体的にどのような状況をさすのでしょう?
典型的な例として挙げられるのが、夜になっても昼間と同じような白い光を浴びつづけている、といった状況です。こうした光環境が続くとせっかちになるといわれるひとつの理由として、白い光を浴びていると時間が速く流れているように感じるのではないか、という研究報告があるんですよ。
その研究では、蛍光灯の白い光を浴びながら、時計を見ずに10秒数えてストップウォッチを押してもらうという実験が行われました。するとほとんどの被験者は、実際の時間が10秒を経過してしまったあとでストップウォッチを押したのです。一方白熱灯など、温かみのある光のもとでは、多くの被験者が10秒たたないうちにストップウォッチを押していたそうです。
“光”の環境が違うだけで、時間の感じ方にそんな大きな差が生まれるんですね!
そうなんです。この実験は“光”と生体反応の関わりを示すひとつの側面を示しているのに過ぎないのですが、蛍光灯の白い光を浴びていると時間が速く流れてしまう感覚になり、温かみのある光を浴びている場合は時間がゆっくりと過ぎていく感覚を得られるのではないか、とも考えられるわけなんです。
この実験から断言しきれるわけではありませんが、ひとついえるのは、白い光ばかり浴びているといつも急いでしまうような感覚になるし、温かみのある光ばかりを浴び続けているとずっとゆっくりしてしまう傾向があるだろう、ということです。どちらか一方に偏るのではなく、ふたつをバランスよく使い分けることが理想的なのではないでしょうか。仕事や勉強などを効率的に進めたいときは白い光、ゆったりとした時間の流れを楽しみたいときは温かみのある光といったように、“光”を変えれば、自分にとって心地いい時間の流れを作ることができるのではないかな、と思います。 |