vol.030 上手に涼を取り入れて、快適な夏に
「食」を通して夏を涼しく健康に

住まいをいくら涼しくしていても、
食べるものによって、からだの中は、熱くなったり冷たくなったりします。
夏は、何をどう食べれば、からだを涼しく、
また健康に保つことができるのでしょうか?
そこで今回は、エッセイストで料理研究家の安井レイコさんのアトリエをお訪ねして、
「食」を通して涼を得る方法を教えていただきました。

「家電」を使って快適な夏を過ごすには?

「うちエコ!」で地球も住まいもクールダウン

安井レイコさん

インタビューバックナンバー

今月の特集へ

地球にやさしいものは、からだにもやさしい」がモットー。素材は捨てる部分を極力減らし、油分の少ない料理にして、地球もからだもきれいに。

料理研究家として、現在は、どういった活動をされているのですか?

「台所から始めるエコロジー」をモットーに、「簡単で、健康にもよく、環境にもいい」料理の普及に努めています。私がいちばん心がけているのは、「なるべくものを捨てない」ということです。たとえば、私の料理法では、ニンジンでもピーマンでも、固くて食べられないヘタの部分だけしか取り除きません。大根やニンジン、レンコンなどは、皮を付けたまま調理しますし、アクも取りません。そういった部分に栄養や繊維があるので、そこを捨ててしまうのはもったいないからです。それに、もっとも旨味がある部分を捨てるわけですから、調味料もより多く必要になります。皮や煮汁の旨味を生かすことによって、調味料を減らすことができ、減塩にもつながるのです。結果的に、ゴミを減らすことになりますから、エコにもつながり、健康にもいいということですね。
こういったことから、私は、「地球にやさしいものは、からだにもやさしい」と考えています。例えば、人間のからだは、食道から胃、胃から腸と、1本につながっています。下水道も同じように海へと1本でつながっているものだと考えると、油のように下水を汚すようなものを、同じようにからだに取り入れると、からだも汚れてしまうと考えることができるのではないでしょうか?ですから、油分の少ない料理にして、さらっとしたものをからだの中に入れるようにしたいと考えているのです。現在は、テレビ番組や講演などで、そういうことを広める活動をしています。

からだを涼しく保つには、「旬のもの」を食べるのがベスト。国内産のものなら季節感にずれが出ず、輸送コストも少なくてすみます。

「食」の視点から、夏を涼しく過ごすためのアイデアをいただきたいのですが、まず、夏はどういった食材を選べばいいでしょう?

「旬のもの」を食べるのが、いちばんです。旬の野菜には、それぞれからだに作用する働きがあります。たとえば、冬にはダイコンやニンジンなどの根菜類が多く穫れますが、それらはからだを温める働きがあります。夏に旬の野菜といいますと、トマト、ナス、キュウリ、レタスなどが挙げられますが、これらはからだを冷やしてくれる働きがあります。また、それら夏の野菜は、生で食べるのに適したものが多いです。これに対して、冬の根菜類は火を通して食べるものが多いですよね。生で食べることができる夏野菜は、火を使わずにすみますので、調理中涼しく、さらに、からだも冷やしてくれます。

店頭で野菜を選ぶときは、どういう基準で選べばいいのでしょうか?

店頭やパッケージに表示されている産地を見ると、今では、いろいろな国の野菜が日本に入ってきてることがわかりますが、「旬のもの」という意味では、少なくとも季節のずれない国内産のものを選んでいただきたいですね。飛行機や船で運ばれるような遠方のものより、トラックでも運べるような場所でつくられたものを選ぶといいでしょう。つまり、自分の住んでいる土地の近隣で穫れたもの、ということですね。そうすれば、季節感がずれることもないですから。遠路はるばる運ばれたものは、輸送コストもかかっていますし、CO2排出の点から考えてもよくないですからね。

産地が近いものを食べることが、エコにもつながり、旬のものを食べることにつながる、ということが理解できました。「地球にやさしいものは、からだにもやさしい」の考え方が、ここでも当てはまりますね。

夏はからだを冷やしてくれる食べ物を。ただし、冷たすぎたり、熱すぎたり、極端な温度のものは、からだに負担をかけます。

夏にからだを冷やしてくれる野菜を食べるのは、健康に良いということですね?

そうですね。暑い夏は、外気の熱がからだに作用して体温を上昇させます。それを冷やすというのは理にかなったことですよね。からだを自然に添わせるということでしょうか。熱いキムチ鍋を、エアコンを効かした部屋で、汗をかきかき食べるより、からだのバランス的には、やはりからだを冷やしてくれるものを食べた方がいいと思います。暑くなったり寒くなったりという、シーソーゲームのような揺れ幅を少なくしてあげたほうが、からだに負担がかかりません。

料理の温度も、冷たいほうがいいということでしょうか?

冷たいものがいい、と言うと、みなさん、冷やしすぎてしまうんですね。たとえば、暑い日には氷を入れた水を飲むとおいしいですが、自然の温度といいますか、生ぬるいくらいの温度の水を、ちびちび飲む方がからだに負担がかかりません。冷たい水を一気に飲むと、胃がぎゅっとなりますよね。冷え過ぎると胃の働きが悪くなります。ひいては体力を失わせることにつながります。なるべく自然の温度に近いものがいい、ということです。かといって、生ぬるいものばかり食卓に並べるわけにもいきませんので、冷たいものがあれば、みそ汁にごはんなど、温かいものを組み合わせて出すといいですね。でも、夏は、ごはんも、炊きたてより、少しおいたくらいの方がおいしくありませんか?結局、夏は、冷やしすぎず、熱すぎず、メリハリをつけすぎないものがいいということでしょうか。

カロリーの高いものを食べると、からだは熱くなる。酸味の強い調味料を使って、なるべく薄味にするのが夏バテしないコツ。

夏は、どういう味付けにするのがいいですか?

味付けの前に、夏は、「カロリーを取りすぎない」ということが大切です。カロリーというのは結局、熱量ですから、カロリーの高いものを食べると、からだがぽっぽ、ぽっぽと熱くなります。カロリーの高い肉や油を食べるより、カロリーの低い野菜を食べている方が、体温が上がりにくいといえます。
暑い夏に向いている調味料といえば、酸味の強いもの、つまりお酢です。旬のトマトやキュウリ、ナスなどにも酢はよく合います。お酢といっても米酢、リンゴ酢、黒酢などさまざまありますし、レモンやグレープフルーツ、カボス、スダチといった柑橘類まで入れると、さらにバリエーションが増えます。そういう酸味の強い調味料は、生のまま調理する野菜によく合うのです。
酸味は、のどごしがよく、口の中がひんやり、さっぱりします。また、酸味の調味料を使うと、薄味でもおいしいので、塩分をたくさん使わずにすみます。塩はどちらかというと、からだを温めるものです。寒い地方の方が、冬に塩気のきついものを召し上がるのは、塩分を取ることで血液の濃度を上げ、寒さに対抗しようと、からだが自然に欲するからです。濃い味のもの、塩分の多いものを食べると、のどが渇き、水をたくさん飲みたくなります。これは体力を消耗しますし、エアコンの設定温度も、もっと下げたくなります。夏バテしないためにも、酸味の調味料を使って、なるべ く薄味に料理してください。

夏バテ防止料理というのは何がありますか?

ビタミンをたくさん摂取できる料理が、夏バテにはいいでしょう。バラエティ豊かな野菜のほかに、豚肉にもビタミンBが豊富に含まれています。カロリーが高くなりがちな肉料理の場合は、脂の部分を取り除き、しゃぶしゃぶなどの調理法で油分を落として食べるといいですね。要するに、夏は口の中に入れたときにベタッとしないものがいいのです。

味、食感、音、香り、そして見た目、五感のすべてで、涼しさを感じられるような工夫を。

食材や調理法のほかに、「食」で夏を涼しく過ごすアイデアはありますか?

見た目も大切ですね。食器を、ガラスや青いものにすると涼しげに見えます。食感も涼しさに関係します。モチモチとしたものよりも、シャリシャリとしたものの方が、舌にあたったときに冷たい感じがしませんか?そういった食感の料理にするといいですね。
涼しく感じるには、盛りつけも大事です。冬は根菜類がゴテゴテと入った煮物や豚汁などが食卓に上りますが、夏は、2、3の食材がすっきり入った、見た目に涼しい盛りつけにするといいですね。また、香りも食欲をそそります。夏はミョウガや大葉など、香りの野菜が多く出回っていますから、そういうものもうまく利用しましょう。
食材で涼しく、味で涼しく、食感で涼しく、音で涼しく、香りで涼しく、見た目で涼しく、というように、五感のすべてで涼しさを感じられるように工夫するといいですね。

お話をうかがって、夏に何をどう食べれば涼しく過ごせるのか、とてもよく分かりました。今日は、ありがとうございました。

安井さんに聞いてきました 夏にぴったり!涼レシピ 「ガスパッチョ」
「ガスパッチョ」

【材料】4人分

トマト

1個(200g)

きゅうり

50g

赤パプリカ

30g

玉ねぎ

50g

にんにく

1/2片

レモン汁

小さじ1

小さじ1/2〜1弱

黒こしょう

少々

食パン

(または
フランスパン1切れ)

1/2枚

100CC

5〜6個

オクラ

(またはきゅうり。
 飾りとして)

適宜

【作り方】

1.ミキサーに、トマト、きゅうり、レタス、赤パプリカ、玉ねぎ、にんにくのざく切り、レモン汁、塩、コショウ、水、氷を入れて、なめらかになるまで攪拌する

2.食パン(フランスパン)をちぎって1.に入れ、もう一度回して、皿に注ぐ

Point

1.捨ててしまうようなレタスの一番外の固い葉や残り物野菜の端切れなどを利用すると、ゴミが減って環境にやさしい料理になります。

2.冷蔵庫で固くなった食パンも、入れてしまえばおいしいリサイクル料理に。

3.冷蔵庫で冷やす場合には氷は入れなくてもいいですが、つくってすぐに食べない場合には、直前にもう一度かき混ぜてから出してください。

安井レイコさん

Profile:
エッセイスト&料理研究家。読売新聞社その他のエッセイコンテストで受賞し、メディアに登場。生活に関するエッセイを発表する傍ら、子どものアトピーをきっかけに、ローオイル、ノンシュガー料理を研究。「簡単、キレイに健康に」をモットーとして、各地での料理講習会や食育のイベント、トークショー、テレビ、広告、ブログなどで活動中。「身体にやさしいことは地球にもやさしい」をテーマにエコロジーな活動にも参加している。

受賞歴:
読売新聞「地球にやさしい作文コンテスト」優秀賞受賞、 「よみうり女性エッセイスト大賞」奨励賞受賞、 JA全農「私の食卓考」エッセイ最優秀賞受賞その他数々の受賞歴で、カリスマ主婦ライターとして、雑誌・テレビなど色々なメディアに登場。

「家電」を使って快適な夏を過ごすには?

ページTOP