vol.028 欲しいのは、趣味の空間
みんすまスタッフがインタビュー!
「趣味人」のライフスタイルから見えてくる、趣味空間をつくるためのヒントとは?
情報誌「EXE(エグゼ)編集長」伊藤加奈子さん

近頃のインテリア雑誌には、いわゆる「趣味人」と呼ばれる人たちの、ため息の出るようなこだわりの住まいが、たくさん紹介されていますね。海が一望できるバスルームや、周りに気を遣わずに好きな音楽が聴ける地下室…どれも魅力的なものばかりです。でも、これらを見ながら「自分にはこんな空間を作るのは難しいな」と思ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、そこで諦めてしまっては何もはじまりません。趣味人を、いつもと違った視点から見ることができれば、趣味空間実現のための何らかのヒントを見つけられるのではないでしょうか?
そこで今回お話を伺ったのは、男性向け住宅・暮らし方情報誌「EXE(エグゼ)」の編集長である、伊藤加奈子さん。
さまざまなこだわりの住まいを取材してきた伊藤さんならではの視点で、趣味人のこと、語っていただきました。

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夢の「秘密基地」を、本当に実現してしまう人ってどんな人なんでしょうか?
「秘密基地」を実現した人は、その夢をずっと持ち続けていました。

「秘密基地」を実現した人は、その夢をずっと持ち続けていました。

「EXE」は、主に男性の視点で住宅や暮らしを紹介している雑誌ですが、創刊に至った背景を教えてください。

私は、これまで住宅関係の仕事に長く携わってきましたが、周りの男性を見ると、仕事が終わった後も、くつろぐ場所が飲み屋さんだったりして、家でくつろいでいる風景が浮かんでこなかったのです。「こんなに仕事をがんばっているのに、男性はかわいそうだな」とずっと思っていました。
男性が住まいに目を向けるきっかけになる雑誌がつくれたらいいなと考え、同じような夢を持つ同志が集まって「EXE」を創刊することになったのです。女性のためのインテリア雑誌は以前からたくさんあり、女性は自分の好きな空間をつくるのが上手ですよね。男性にもそうなっていただきたいのです。男性は、住まいに対して、もっとわがままに自分の意見を主張してもいいのではないでしょうか。自分にとって居心地のいい空間はどんなものなのか、「EXE」の記事をヒントに男性陣に考えていただければ、と思っています。

毎号、いろいろな切り口でさまざまな住まいを紹介されていますが、どれも個性的でため息の出るような住まいばかりです。こういった住まいを実現されている方には、何か傾向のようなものがあるのでしょうか?

まず、どの方にも共通していることがあります。例えば、取材中、ものが飾ってあるところや、コレクションが置いてあるところなど、「ここがこだわりかな?」と思うところを尋ねると、どの方も少年の目になって、コレクションのいわれなどを延々と語ってくださるんですよ。子どものころに持っていた秘密基地をつくる夢をずっと持ち続けて、40代50代になって実現している、というところでしょうか。
また、大きく分けると、アウトドア派の方とインドア派の方がいますね。「EXE」の特集も、その2つを分けて考えています。音楽や映画が好きというインドア系の趣味をもつ方は、AV機器だけでなく、音響効果も考えたり、照明にまで気をつかったりして、空間全体を演出されています。インドア派の方の最終的なゴールは、自分自身を演出するところだったりするの かも知れませんね。
対して、海や山、バイクやクルマが好きなアウトドア派の方は、「住まいは、自分が遊ぶための“道具”」と割り切っている方が多いようです。たとえばお宅は、床は大理石で・・・などとディテールにこだわるよりも、コンクリート打ちっ放しで構わない、といった感じです。

貴誌を拝見しますと、取材対象は戸建住宅が多いようですが、新築のマンションに趣味の部屋をつくった例はありますか?

最近のマンションは、リビングが広くとられているものが増えていることもあって、リビングに書斎コーナーや趣味のコーナーをつくった、という例を耳にしますね。1室が確保できなくても、こういった「自分コーナー」をつくるだけでもいいのではないでしょうか。好きで集めたコレクションを、きれいに飾って眺めるだけでも、次の日への英気が養われますから。
また、これは空間づくりのお話とは離れるかもしれませんが、最近、新築マンション購入の際に、立地に対して確固とした条件を持つ方が増えているようです。そして、立地条件の中でも優先順位が高いのが眺望です。つまり、趣味の空間をつくるというよりは、眺望のいいところに住んで、景色を眺めながら過ごしたい、と思われている方も多いということではないでしょうか。

家族の理解があってこそ実現する、趣味の空間。

家族の理解があってこそ実現する、趣味の空間。

「趣味人」が、のびのびと趣味を楽しめるのは、家族の理解があってこそ。

取材された「趣味人」の中で、特に印象に残った方はいますか?

先ほど申し上げたアウトドア派の方の中に、「愛車のロータスが眺められ、触っていられればいい」という方がいらっしゃいました。食事と寝るとき以外は、車庫にあるロータスのそばにいる、という生活です。でも、家族のことを何も考えていらっしゃらないのか、といえば、そんなことはありませんでした。例えば、住まいも、ご家族が集まりやすいリビングになるように、よく工夫されていて、ご家族とのコミュニケーションも大事にされていることがうかがえました。相当な金額をロータスに遣っていても、一方で家族も大事にされているからこそ、こういった趣味に没頭することを理解してもらえるのでしょうね。
また、「週末別荘」という特集では、葉山の海のそばに別荘を建てた方を取材しました。実はその方のご自宅は、この別荘から自転車で5分の所にあるのです。奥さまと、奥さまのご両親といっしょに、ふだんはご自宅で暮らしていらっしゃるのですが、多趣味な方で、独りになる時間がどうしても欲しくて別荘を建てられたとのことでした。ホームバーやホームシアターがあったり、ハンティングで獲った鹿を剥製にして飾ったり、ご自分の好きなものだけを置いておく空間になっていて、これなど、「趣味の空間」の究極でしょう。でも、ご家族もしょっちゅう別荘にいらっしゃいますし、こちらもやはり家族を大切にしている方でした。好きなことをするためには、まず家族の理解があってこそ、ということでしょうね。
趣味の空間をつくることができるのは、お金はもちろん時間もある方なのだろうと思われるかもしれませんが、ご紹介するみなさんは、お忙しい方ばかりです。時間の使い方をうまく工夫して、オンとオフの切り換えをはっきりさせているのでしょうね。

大事なことは、その空間でオンとオフの切り替えができるかどうか。

みんすま読者のみなさんは、今のお話を、ヒントとしてどういうふうに生かせばいいでしょうか?

先ほどもお話ししましたように、大事なことは、オンとオフの切り換えができるかどうかだと思うんです。切り換えの手段は何でもよくて、例えば、ソファは最近どのご家庭にもありますが、もし、そのソファがあなたにとってほんとうに居心地のいいものなら、それがあるだけでオンとオフの切り換えはできると思います。逆にいえば、そこにすらこだわりが持てなければ、家という大きな器が用意されても、自分の好きな空間をつくることはできないのではないでしょうか。夢は持ち続けてこそ叶うもの。がんばれ、男性陣!です。

住まい全体を自分のイメージにあったものにするのは難しくても、ピンポイントで好きなものを明確にしていく、そして、それをベースに自分らしい空間づくりをスタートさせるということですね。今日は、ありがとうございました。

自分のオンとオフの切り替えを意識することが、理想の空間をつくる第一歩。

自分のオンとオフの切り替えを意識することが、理想の空間をつくる第一歩。

伊藤さんに、6畳の「夢の空間」を描いていただきました。

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