vol.024 理想の住まい探しを考える
みんすまスタッフがインタビュー!
住宅コメンテーターの坂根康裕さんに理想の住まいに近づくための方法を教えていただきました。

インターネットに住宅情報誌、住まいの情報源は年々充実、情報量も増える一方です。
しかし、そうした情報を集めれば集めるほど、また、モデルルームを見学すればするほど、
どれにすればいいか決められなくなってしまい、「探し疲れ」を起こしてしまう人もいるようです。
そこで今回は、住宅コメンテーターの坂根さんに、理想の住まいにもっと近づくための、
住まい探しの際の注意点や、視野を広げるためのコツを教えていただきました。

住宅コメンテーター 坂根康裕さん
坂根康裕さん プロフィール

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「見すぎて判断基準を見失う」が、住まい探しの際に陥りやすい症状。抜け出すために、自分の理想や好みを再点検してみましょう。
パークホームズ巣鴨セントラルアヴェニュー

住まい探しに疲れたという人は、どんな「症状」に陥っているのでしょうか?

積極的に情報を集めている方に多いのですが、情報がありすぎて、あるいは物件を見すぎて、分からなくなるということがあるようです。
今はインターネットの情報が充実していますし、モデルルームも立派なものが揃っています。どれもよく見えるので、自分の判断基準を見失っている状態だと思います。

その「症状」から脱け出すには、まず何をすればいいでしょう?

どれを選べばいいか分からないという人は、自分の好みや求めているものがよく分かっていない、つまり、自分の物差しが明確になっていないの です。
住まいは、他のものに比べて圧倒的に見る機会が少ないものです。クルマなら大通りに10分も立っていれば、おそらく何十車種も見ることができるでしょうが、住まいは、モデルルーム見学が好きな人でも、見る数はしれています。
まずは、目を肥やすために、モデルルームだけではなく、ハウスメーカーのモデルハウス、インテリアショップや設備機器メーカーのショールームなどにも行ってみるといいですね。映画やドラマを見るときも、そこに出てくる家や部屋の設えを観察してみると面白いです。そうしたことを重ねているうちに、自分の好みや理想がはっきりしてくるのではないでしょうか?

インターネットでは、物件によって情報の密度に差があります。すべての情報を鵜呑みにはしないで。

それでは、その理想の住まいに一歩でも近づくための方法を教えていただきます。
まず、インターネットを情報源にするときの注意点はありますか?

今どういう物件が出ているのか知るには、多くの会社の物件を一覧で見ることができるポータルサイトが便利ですが、ここでの物件情報の密度には差があるということを承知しておく必要があります。つまり、ポータルサイトは、基本的に広告収入で成り立っていますので、ある物件は詳しく、ある物件はさらっというふうになりがちなのです。興味のある物件をより深く知るには、やはりそれぞれの物件のホームページに直接アクセスるのがいいでしょう。
また、インターネット上には、住まいに関する様々な意見が飛び交っていますが、これらの情報は読み手がしっかりと選別をしなければいけません。重要になるのは、情報の適切な取捨選択なのです。

パークタワー品川ベイワード
立地のポイントは、土地の系譜・ロケーション・眺めの3点。そこに住めばどんな暮らしができるか、何を見て暮らせるか想像してみる。

立地を見るときのポイントを教えてください。

立地についてのポイントは3つあります。 1つ目は、その土地の系譜を知るということです。土地というのは何百年も人から人へバトンタッチされてきたものですから、全ての土地には系譜があるといえます。その土地の前身を知ることは、暮らしをイメージする ヒントにもなるでしょう。
2つ目は、ロケーションです。立地は、最寄り駅から何分とか、通勤・通学に便利かどうかという視点で考えがちなのですが、神社仏閣、博物館や図書館、公園など、そこに住めばどんな暮らしになるのか、もっと視野を広げてみるといいと思います。
3つ目は、そのマンションから何が見えるかということです。日本ではこれまで、住宅は南向き志向が強かったのですが、ここ数年、空調や断熱性能、換気性能が向上したおかげで、南向きではないことによるデメリットが少なくなりました。南向きの絶対的な価値は下がっていないのですが、それほどこだわる必要はなくなったということです。
これからは、もっと眺めを重視してもいいのではないでしょうか。街の眺めそのものもきれいになってきているなと感じます。20年前なら東京タワーしかなかったものが、今は六本木ヒルズやベイブリッジなど、絵になる風景が増えています。
系譜・ロケーション・眺めという3点から立地を考えていくと、住まいの選び方が変わります。

モデルルームには、構造や性能をチェックしに行くというより、その物件のストーリーを聞きに行くというスタンスで。

モデルルームでは、何を見ればいいですか?

よく聞かれる質問ですね(笑)。
デベロッパー(施主)は、今述べた3点をきっちり押さえてマンションを建てていきます。マンション建設の一連の作業には起承転結があり、ストーリーになっています。買い手は、売り手の描いたそうしたストーリーをよく理解することが大事だと思います。ですから、モデルルームへは構造や性能をチェックしに行くというよりも、ストーリーを聞きに行くというスタンスがいいですね。たとえば、なぜこんな大きな木が玄関にあるのだ ろうと思ったら、まず担当者に聞いてみるのです。
統一感のあるモデルルームというのはコンセプトが一貫しています。ストーリーが分かりやすく、聞いたものと目の前にあるものがしっくりくるというのでしょうか、そういった物件はいいですね。

麻布霞町パークマンション

坂根さんも、そのストーリーが強く印象に残っているという
「麻布霞町パークマンション」。

「パークマンション」30年目の集大成(住まいのヒストリー)

間取りはライフスタイル・サイズで選ぶのがポイント。部屋の広さより、実はかたちが重要です。

間取りについては、どう考えればいいでしょう?

私は、間取りの選び方を説明するときに、「ライフスタイル・サイズで」とよく言います。自分の暮らし方をよく把握して選ぶということです。
住み手の、「音」に並ぶ不満に「収納が足りない」というものがありますが、これも自分のことがよく分かっていないというところに原因があるようです。たとえば、入居したらクツ収納のスペースが足りなかったというケース。自分の持っているクツ、これから買い足さなければならないクツ、そしてそれらの寸法が分かっていれば、必要なスペースというのは割り出せますよね。洋服やそれ以外の持ち物も同じです。
広さに対する不満についても同じようなことがいえます。夜はたいていリビングで映画を観るというのであれば、テレビの大きさから、観る位置との距離が割り出せたら、リビングの最低限必要な広さというのが、おのずと

分かります。そうしたことを把握しないまま住まいを買うと、テレビとの距離が近すぎるとか、ソファを置くと通れないといった不都合が出てく るわけです。

住まいは高価なので、何坪とか何平米とか、すぐに数字的な広さに目がいきがちですが。

広さよりも空間のかたちが重要だと思います。たとえば主寝室を例に取りますと、シングルベッドを2つ並べて、間にナイトテーブルを置くには、皆さん7畳ぐらいあれば十分と思っていらっしゃるでしょうが、かたちがそういうふうになっていないと置けません。シングルベッド2台とナイトテーブルを置く位置を想定して、ドアがきちんと開け閉めできるか、実際に確かめる必要があります。
漠然と数字で判断するのではなく、1室1室家具配置から検討していけば失敗しません。

最後に、これから住まいを探す方にアドバイスをお願いします。

去年あたりから地価が上がっていることもあって、資産価値を気にする方が増えたように感じます。資産価値を重視するとき、よく陥りがちなのが、「駅に近いほうが資産価値があるが、希望する間取りでは予算に合わないので、小さい面積の住戸を買ってしまう」ということです。そうすると、何十年先になるか分からない売却時のために、何十年も狭さをがまんするということになってしまいます。
資産価値と立地を安易に結びつけるのは避け、そこに長く住まうことをイメージした住まい選びを心がけてください。

プロフィール:
坂根康裕(さかね やすひろ)
1987年株式会社リクルート入社。
「都心に住む」「住宅情報スタイル」の編集長を歴任。現在は住宅コメンテーターとして活躍中。1994年以降、見学したモデルルームは、優に1,000を超える。
著書に「理想のマンションが選べない本当の理由」(ダイヤモンド社刊)がある。
All About「ハイグレードマンションを買う」ガイドとしても記事を連載中。
(All About の坂根さんのガイドサイトへ)

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