vol.020 住まいと子育てを考える
親子のための生活情報誌『日経Kids+』の編集長に、子育ての考え方、子どもとの暮らしについてお聞きしました。

毎日のことだし、思うようにいかないし、責任もあるし……、
と、大変なことばかりが頭に浮かんでしまいがちな子育て。
もちろんそれも本当のことではあるけれど、
子どもと一緒に遊びや学びを楽しもう! と考えれば、
ずっとラクになって、本当に楽しめそうな気がしてきませんか?
「日経Kids+」はまさに、子どもとの生活を一緒に楽しめるよう、
遊び、学び、健康を柱にたくさんの提案をしている情報誌。
そこで今回は、編集長の尾島和雄さんに、
「日経Kids+」が考える子育てや子どもとの暮らしについてうかがいました。

インタビュー:日経Kids+ 編集長 尾島和雄さん

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子どもと一緒に生活を楽しむことが大切。そうすれば子どもも成長するし、親自身も成長するはずです。

『日経Kids+』は、いわゆる育児雑誌ではないそうですね?

尾島さん

「育児という言葉には、家庭の仕事というイメージがありますよね。でもそうではなくて、もっともっと楽しいものだと考えているのです。だから、『日経Kids+』は育児雑誌ではなく、子どもと一緒にオフの生活を楽しむための雑誌。親御さんにも子どもとの生活を楽しむという気持ちで、子どもと接してほしいと思っています。」

具体的には、どういうことでしょうか?

尾島さん

「子どもと一緒に遊んだり、一緒に学んだり、一緒に健康になろうということです。例えば学ぶにしても、子どもに「勉強しろ」「いい学校に行くんだよ」と一方的にやらせるのではなく、自分自身も一緒に学ぶという視点をもつことが大切だと思うのです。子どもと一緒に勉強をすると、自分でも発見があったり、忘れていたことを思い出したり、改めて理解したり、ってあるものなんですね。それを日々やっていると、子どもも成長するし、自分も成長すると思います。」

 
日経Kids+

日経Kids+ 2006年12月号(毎月18日発売)

成長するのは子どもだけでないんですね。

尾島さん

「そうです。親も不完全なのだから一緒に勉強する、不健康なのだから一緒に健康になればいい、と。子どもと一緒に早寝早起きしたり、一緒に朝ごはんを食べたりしながら、一緒に成長するって楽しいと思うんですよ。子どものために自分が犠牲になって何かをしてあげるというのも喜びがあるかもしれませんが、やっぱり息苦しさや辛さを感じてしまいます。でも、自分のためでもあり子どものためでもある、と考えれば、もっとラクになれるのではないでしょうか。」

大人になるにつれて、やめてしまったことがたくさんある。勉強も終わりはなく、大人になってからもするべきです。

子どもと接していると、思いがけず考えさせられたりすることがありますよね?

尾島さん

「ええ、改めて考えさせられることがたくさんあります。「大人はなんで働くの?」と聞かれると悩んでしまったり、「いい大学へ行くといいことがあるの?」と突っ込まれると返答に困ったり。私たちは大人になる過程において、いろいろなものを捨てたり、忘れたり、考えなくなっていると思います。だから、子どもと一緒にもう一度考え直したり、勉強するといいのかなと思います。」

大人にとっても学ぶことは必要なのですね?

尾島さん

「そうです。よく子どもの学力低下が問題になっていますが、実際に少し下がってはいるものの、相変わらず世界のトップクラスです。それよりも問題なのは、日本人ほど勉強していない大人はいないということ。例えば社会の問題について、自ら参加して勉強しているでしょうか。環境問題も声高に叫ばれていますが、本当に理解している人はどれほどいるでしょうか。大人こそ勉強しなくてはいけないし、もちろん遊びもしなくてはいけないと思いますね。」

最近ではあまり見かけなくなった「外遊び」。運動能力だけでなく、コミュニケーション能力も養えるんですよ。

現代の子どもを見ていて感じることはありますか?

尾島さん

「10月号で「外遊び」の特集をしたのですが、今の子どもは遊ぶ場所も時間もなくて、外遊びが足りないようです。だから、外遊びを通して身につけられる力がついていないように感じます。例えば“鬼ごっこ”は、鬼に捕まらないように間合いを計りながら逃げるところに面白さがありますよね。でも最近は、みんな徹底的に逃げてしまってゲームにならないんだそうです。遊びって、「このあたりまでなら大丈夫だろう」という駆け引きが面白いのですが、今の子どもは間合いや距離感をつかむのが苦手という話も聞きます。大切なコミュニケーション能力を培う必要があるのでは、という気がします。」

どうして絶対に安全なところまで逃げてしまうのでしょうか?

尾島さん

「親が子どもに危険を冒させないようになっているからかもしれませんね。親が先回りしていろいろなものを摘み取ってしまうと、考える力や危険を察知する力がなくなってしまうし、もともと持っているはずの身体感覚もなくなってしまいます。実体験から学ぶことはたくさんありますからね。」

子育てには、父親も積極的に関わってあげることが重要です。

子どもをとりまく環境で気になることはありますか?

尾島さん

「子どもの周りに父親を含めた男性が少ないのではないかと思います。幼稚園や保育園・小学校は女性の先生や保育士の方が圧倒的に多いですし、 お稽古事の先生も女性、お父さんは仕事で忙しくて一緒にいる時間が少ない、おじいちゃんやおばあちゃんとは別に住んでいる、となると、どうしても母親をはじめとした女性とばかり接触していることになってしまいます。女の子はともかく、男の子には男の子の気持ちをよりわかってくれる男性と接触する時間が少ないのではバランスがよくないですよね。」

簡単には解決できないと思いますが、どういうことをしていくべきなのでしょうか?

尾島さん

「父親がもっと接してあげるべきでしょうね。ただ最近は、子どもとの時間を大事にしようという男性が増えているようです。苛酷な仕事環境や情報不足などの不利はありますが、意識としては変わってきていると思います。」

子どもとの時間は夢があって楽しいもの。男にとって子育ては“ロマン”だと思います。

尾島編集長ご自身は、子育てをどのように思われていますか?

尾島さん

「いつも“子育ては男のロマンだ”といっているのですが、本当にそう思いますね。子どもの頃に持っていた夢をはじめ、いろいろなものを捨ててきた人生だけど、子どもとの生活でまた思い出すことができる。それってロマンだと思うのです。「パパはどうして仕事しているの?」とか、「何でその仕事をしているの?」と聞かれると、「いやーどうしてだろう」と自分自身を振り返る。そうすると中途半端な仕事はできないなと思ったりもする。つまり、最終的には仕事にも返ってくる。いろいろな意味でロマンだと思いますね。」

全てのお父さんに、そういう魅力が分かってもらえるといいですね。

尾島さん

「そうですね。『フィールド オブ ドリームス』という映画があって、ラストシーンでお父さんの幽霊とキャッチボールをするのですが、そのシーンを見て泣くのは男性が多いですね。男はロマンとか夢とかに弱いのです。子どもとキャッチボールをするとか、子どもと二人で旅行するとか。そういう子どもとの時間って夢があって楽しいんだ、ということに気付いてほしいですね。」

以前、家の特集を組まれたときには、夢のある面白い家も紹介されていましたね。

尾島さん

「そうですね。これからもまた夢のある家を探して紹介したいと思っています。秘密基地のような遊び心のある家がいいですね。もちろん家に限らず、子どもと一緒に楽しめる遊び心のあるものを誌面に展開していきたいと思っています。なんといっても、子どもが小さいときの貴重な時間は限られていますからね。」

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