vol.017 快適で健康に暮らせる住まいとは?
木を材料にした建材メーカーの方に、健康へ配慮した製品開発について伺いました。

自然のやさしい風合い、ぬくもりのある表情、美しい木目……。
木がもっている良さは、安らぐための住まいにぴったり。
実際、フローリングや室内ドア、収納、造作材、など、
住まいのいろいろなところで木に出合います。
そんな木を活用した製品の原材料には、
健康に影響を与える恐れがある化学物質が含まれる、といわれるものも。
そこで、木を材料にした建材メーカー、永大産業(株)の
CS推進部長・楠仁志さんと営業課長・石橋秀行さんに、
製品づくりにおける健康への配慮について伺ってきました。

インタビュー:永大産業(株)CS推進部長・楠仁志さん 営業課長・石橋秀行さん

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地球環境と健康への配慮をしながら、天然資源の木を活用した製品の研究・開発をしています。

マンションでも戸建住宅でも住まいには様々な建材が使われていますが、木を材料としたパーツもそのひとつ。フローリングや室内ドア、収納、造作材など、木は住まいの随所で幅広く用いられています。

このような木を生かした製品を中心に開発している永大産業では、地球環境を視野に入れた環境調和とともに、健康な生活への配慮も大切にしています。フローリングをはじめとする製品は、強さや美しさといった機能も求められますが、健康に配慮していることが何よりも優先だと考えているのです。

例えば、合板で作られている床材の断面を見ると、
図のように複数の素材を張り合わせているため、
接着剤が使われています

ホルムアルデヒドといった化学物質は、シックハウスなどを引き起こす原因にもなります。

住環境における健康を考える上で、近年よく耳にするのが「シックハウス症候群」の問題です。シックハウス症候群とは、住宅やビルにおける室内空気汚染により、居住者に生じる健康障害のこと。症状の例としては、ノドや目が痛む、気分が悪くなる、アレルギー疾患が悪化するなどがありますが、実はまだまだ解明されていない部分も多いのが現状です。

シックハウス症候群を招く背景にはいろいろな要因がありますが、一般に、住宅内装材や身の回りの日用品などに含まれる有害な化学物質の可能性が高いとされています。揮発性の有害な化学物質が室内空気中に発散され、呼吸などを通して多量に吸い込むと、シックハウスの症状を引き起こすと考えられます。

その代表的な化学物質が、ホルムアルデヒド。常温で無色透明の揮発性物質で、合板や建具などの接着剤を硬化させるために使われています。ホルムアルデヒドを含めた揮発性の化学物質を総称してVOC(Volatile Organic Compound:揮発性有機化合物)といい、健康に影響を与える物質が多くあります。

ホルムアルデヒドの他にも、有害なVOCはいろいろな住宅建材に使われています。例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼンは、床材や建具に塗られる塗料の溶剤などに含まれるもの。アセトアルデヒドは接着剤や防腐剤に用いられ、スチレンはポリスチレン樹脂等を使った断熱材などに用いられています。

行政はシックハウスを深刻な問題と捉えて、指針を示すなどの対策を講じています。

シックハウス症候群やVOCをめぐる問題は、直接、健康に結びつくだけに重大です。行政・住宅業界・関連業界などでは深刻に受け止め、有害物質濃度の低減を図る対策をたてています。

■ホルムアルデヒド対策
2003年7月1日より施行された改正建築基準法では、シックハウス症候群の一因とされるホルムアルデヒドに関して、(1)内装仕上げの制限(2)換気設備の義務付け(3)天井裏等の制限、が定められています。

(1)内装仕上げの制限
ホルムアルデヒドを発散する内装仕上げ材の面積を、表1のように制限。規制対象の建材は、合板、木質系フローリング、構造用パネル、接着剤、塗料、断熱材など。
(2)換気設備設置の義務付け
ホルムアルデヒドを含む建材を使っていなくても、家具などから発散する可能性があるため、すべての建築物に換気設備の設置を義務付け。(住宅等の居室で、換気回数が0.5回以上/時間)
(3)天井裏等の制限
天井裏などからホルムアルデヒドが居室へ流れないような措置が必要。そのため、ホルムアルデヒドの少ない下地材を使う、あるいは、機械換気設備で換気できる構造とする。

■VOC対策
ホルムアルデヒド以外のVOCについて、世界的にはWHO(世界保健機構)で使用のガイドラインが定められており、日本でも厚生労働省が13物質について室内濃度指針値を出しています。

表1:建築基準法による内装仕上げの制限

建築材料の区分

記号(旧記号)

使用面積制限

最上位規格
(規制対象外)

F☆☆☆☆
(平均値0.3mg/l以下)

制限なしに使える

第3種ホルムアルデヒド
発散建築材料

F☆☆☆
(E0、FC0)

使用面積を制限
(床面積の2倍まで)

第2種ホルムアルデヒド
発散建築材料

F☆☆
(E1、FC1)

使用面積を制限
(床面積の0.3倍まで)

第1種ホルムアルデヒド
発散建築材料

F☆
(E2、FC2)

使用禁止

社内でも厳しい基準を定めて、健康と安全のための取り組みを行っています。

健康で安心して暮らせる住まいのために、永大産業は法令を遵守すると同時に、さらに社内で厳しい基準も設けて、積極的に対応しています。

表2:永大産業の低VOC対策

対象

一般的な用途

永大産業の対策内容

1.ホルムアルデヒド

接着剤

F☆☆☆☆等級レベル

2.トルエン

接着剤・塗料の溶剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

3.キシレン

接着剤・塗料の溶剤
可塑剤

原材料として不使用、

または測定にて基準値以下の確認

4.パラジクロロベンゼ

防虫剤、芳香剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

5.エチルベンゼン

塗料の溶剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

6.スチレン

断熱材、合成樹脂

原材料として不使用、

または測定にて基準値以下の確認

7.クロルピリポリス

坊蟻材

原材料として不使用

8.フタル酸ジ-n-ブチ

可塑剤、接着剤

原材料として不使用

9.テトラデカン

塗料の溶剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

10.フタル酸ジ-2
エチルヘキシル

可塑剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

11.ダイアジノン

殺虫剤

原材料として不使用

12.アセトアルデヒド

溶剤、防腐剤

原材料として不使用、
または測定にて基準値以下の確認

13.フェノブカルブ

農薬の原料

原材料として不使用

ホルムアルデヒドに関しては、すべての製品において、建築基準法に定める最上位規格「F☆☆☆☆」に対応。健康に配慮した低ホルムアルデヒド仕様としています。
具体的には、接着剤に使われるホルムアルデヒドを、キャッチャー剤を使って固めてしまう方法や、閉じ込めてしまう方法などを採用。ホルムアルデヒド発散の恐れが少ない接着剤を使う方法も採り入れています。
ホルムアルデヒドはもともと自然界に存在しているもので、木や果実、魚などにも含まれています。ホルムアルデヒドの量をゼロにするのは困難ですが、様々な工夫によってホルムアルデヒド低減に努めています。

有害なVOCを減らすためには、厚生労働省の指針を踏まえ、業界内でもトップクラスの厳しい自社基準を定めています。(表2)
さらに、フローリングや建具などのすべての製品について、接着剤や塗料などの原材料に、厚生労働省の指針対象物質を使用していないことをMSDS(※製品安全シート)にて確認。もちろん自社製品のデータ更新も頻繁に行って、有害物質を出さない製品を提供するべく、厳重に管理しています。

※MSDSとは、含有する化学物質の危険性、有害性、安全な取扱法、法規制などの情報を、製品ごとに記載した製品安全データシートのこと。企業間の化学物質の取引においては、化学物質の適切な管理のために、これらの詳細データを公開することになっています。

使用されている化学物質を確認したり、積極的に換気するなど、住む方の心がけも大切です。

国やメーカーでは、ホルムアルデヒドをはじめとする有害なVOCの低減を推進していますが、ゼロにはできないという現状もあります。そのため、お客様が絶対にシックハウスにならない、とは限りません。

そこで、新しい住まいを購入するときや借りる際には、まず内装仕上材が「F☆☆☆☆」の低ホルムアルデヒド仕様であることを確認していただきたいと思います。ただし、人による反応の違いはとても大きく、特に小さなお子様や女性の方が影響を受けやすいと言われています。「F☆☆☆☆」だからといって、すべての方にとって安心というわけではありません。もし、化学物質にアレルギー症状が出やすい方であれば、事前に相談することをおすすめします。反応する化学物質がわかっていれば、なお対応や判断がしやすいでしょう。

そして、いざ新築の住まいやリフォームした住まいなどに住むことになったら、何といっても日常の換気が大事です。建築基準法のシックハウス対策に「換気設備の設置」がありますが、この換気設備を稼動させたり窓を開けて換気するなど、住む方の心がけも大切です。最近の住まいは気密性にすぐれているため、意識して積極的に換気をしてください。
住まい全体の換気をすると同時に、キャビネットや吊戸棚などの収納も、トビラや引き出しを開けて、こまめに空気を入れ替えましょう。

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