vol.017 快適で健康に暮らせる住まいとは?
健康専門誌「日経ヘルス」編集長に、最近の健康に対する考えや傾向を伺ってきました。

ここ最近、健康志向の強い人が急増している日本。
雑誌やテレビで取り上げた健康法が話題になったり、
健康グッズが大ヒットするなど、社会現象になることもあるほどです。
その背景には、「なんとなく不調」といった健康不安があるのも事実。
そんな不安を解消して、もっと健やかに美しく過ごすために、やれることはいっぱいあるのだそう。
そこで、健康専門誌「日経ヘルス」の編集長・西沢邦浩さんに、最近の健康の考えや、
「日経ヘルス」が考える健康のキーワードなどを 教えていただきました。

インタビュー:「日経ヘルス」編集長・西沢邦浩さん

インタビューバックナンバー

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健康は、楽しく豊かな人生を送るためのツール。きちんとした考え方を知って身につけることが大切です。

『健康』というのは、楽しく元気で豊かな人生を送るための土台。だから、きちんとした考え方と方法論を身につけておくことは大切だし、充実した人生のための強力なツールにもなります。そのため、「日経ヘルス」では健康についての様々な情報を発信。より多くの方が、それぞれの健康への意識を高めてほしいと思っています。ただし、健康は単なるツールであって、目的にしてはいけないと考えています。
健康になることが目的になってしまったら、つまらない人生になってしまいますから。

昨年、仕掛けた「解毒」が大ブームに。これからは、「解毒」「さらさら」「代謝」が健康のカギ。

このところ、「解毒(またはデトックス)」が日本中でブームになっていますが、実は、
「日経ヘルス」が昨年の年初に発売した号(2005年3月号)で解毒を初めてテーマとして打ち出し、ブームをつくりました。その前から“体を浄化させよう”とか“体の中からスッキリさせよう”といった特集は組んでいましたが、ユーザーの心理はそんな生やさしいものじゃないだろう、と。そこで、インパクトのある「解毒」という言葉を採用したところ、大きな反響があったのです。数ヵ月後には他の一般誌やテレビでも取り上げ出して、結局、大ブームになりました。

とはいえ、私たちは「解毒」は一過性のブームではなく、健康の基本だと思っています。これまで健康誌が取り上げてきたテーマも、結局は、体の中に溜めたら毒になるものを解消する方法がほとんど、ともいえます。例えばダイエットは、脂肪が過剰に溜まると、血圧や血糖値を上げる信号を出すなど、悪影響がある。便秘も、便が溜まると腸の機能が低下して、肌荒れや頭痛などを引き起こす原因になります。むくみや冷えの解消なども同様。すべて、体に溜まったら悪影響を与える“毒”を、きちんと出すことを目指しているのです。

「解毒」により詰まっているものを取り除くワザを身につけたら、次は「さらさらと流れる、巡りのいい体」にすることです。体の機能をもっと高めるためには、体の隅々まで血液をスムーズに流すことが大切です。また、体を動かす機会の少ない現代人は、本来もっているはずの代謝機能も落ちています。そこで、その次のキーワードは「代謝」。代謝活動が正常であれば、普通に食べている限り、体脂肪は溜まりません。

つまり、まずは詰まっているものを取り除く「解毒」、体をよく通るようにする「さらさら」、次は体の代謝活動を正常化して、できるところまで高める「代謝」が、健康のキーワードだと思います。

新しい健康法が受け入れられたのは、現代が社会不安、健康不安を抱えているから。

今、健康意識が大きな転換期にさしかかっているように感じます。時代を遡ってみてみると、日本では時代が大きく変わる頃に、健康ブームがやってきていることが多々ありました。

例えば、江戸末期に花開いた健康法の一つに、湯治があります。全国の温泉を対象にした「温泉番付」があり、各温泉の効能まで記されていたといいます。また、第一次世界大戦と第二次世界大戦の間の混沌とした時代には、「飲尿療法」などの様々な民間療法が雑誌の誌面をにぎわしていたようです。今回の健康ブームは不況とともにやってきました。漠然とした社会不安が蔓延する中、外見はきれいに見えても体の調子がよくない、どこかおかしい、といった健康不安を感じている。その解決策として「解毒」という健康法が共感を得られたのだと思います。

実は、「解毒」というメッセージに対して、ここまで読者が反応してくれたのは、良かったと思う一方、驚きでもありました。ダイエットや便秘は結論がはっきりしていますが、解毒のようにエンドポイントが曖昧な健康法は、これまでブームになりにくかったからです。でも、読者の方と話していると、「体の中からきれいになりたい」という言葉を使う人が増えていることがわかりました。自分を根本的に立て直したいという意向が出てきたからこそ、「解毒」という言葉に鋭く反応したのだと思います。

古くからの日本人の生活、食、運動には、現代にも通じる健康へのヒントがたくさんあります。

生活スタイルにおいて、伝統的な日本人の生活を見直すことは意味があります。例えば、女性の着物。江戸時代より以前は、女性も現代の着付けで帯を締める位置より下、腰の当たりを締めていたようです。締める場所は一カ所。したがって、ストッキングや下着などで何カ所も締め付ける洋服と違い、体の流れが滞りませんでした。また、畳での生活も日本人には好ましいスタイル。重心がおへそよりも上にある西洋人は椅子の生活が合っていますが、重心がおへそよりも下にある日本人は、椅子よりも畳に座るほうが姿勢が安定しやすいのです。さらには一年中、エアコンの効いた室内で過ごしたり、お風呂に浸からずにシャワーのみだったり、というのも、健康面ではマイナスなことも。現代の生活の中で、体は様々なストレスを受けていることも意識する必要があります。

食に関していえば、日本人は生まれつき恵まれた食文化の中で育っていると思います。1つは、小さい頃から味も種類も多様な食を経験している「揺食(ようしょく)の文化」ということ。いろいろな食を知っているので、体に合わない食事があればスイッチする選択肢がたくさんあり、調整できるのです。もう1つは、アミノ酸を美味しいと感じている文化であること。和食は、昆布や鰹のダシのように、アミノ酸のうまみが料理の味付け。脂肪の強烈なうまみを幼少時からすり込まれる食文化に比べて、日本人は健康になれる可能性が格段に高いといえるでしょう。

運動についても、昔の人の体の動かし方には見習うべきものがあります。日本でも世界の他の民族でも、古くから体を動かす機会は「歩き」と「踊り」が中心。効率よく体を動かして、体の機能をスムーズに働かせるには、最適な運動だと思います。

体調の変化に気付きやすい女性も油断は禁物。気付きにくい男性は、危険度大。

男性に比べると女性は、健康への意識が高いといえます。主な理由の1つは、毎朝、毎晩、化粧をするときと落とすときに鏡で顔を見ること。その際に、吹出物ができたとか、顔色が悪いとか、痩せた・太ったなどの変化を把握できるのです。
それでも、現代社会では、エアコンや体に合わない椅子に座っての長時間勤務など、女性もリスクの高い環境にあります。意外に思われるかもしれませんが、専業主婦の方たちもリスクが高いと思います。お子さんが成長して外食するようになり、夫も夜遅くて家で夕食を食べないと、昼も夜も食事はひとり。そうすると、きちんとした食事を摂らなくなる傾向が強くなるのです。

現在の「日経ヘルス」は読者の大半が女性ですが、創刊当時は男性をターゲットにしていました。多くのビジネスマンは、内臓脂肪がつきすぎているなどの問題を抱えている上、本人たちはあまり気付いていなかったからです。ところが、残念なことに男性は意識が低く、健康誌を買ってまで改善しようという人は多くいませんでした。でも、男性は女性よりも体調の変化に気付きにくいので、体に迫っている危険を自覚してほしいと思います。
そのためにはまず、男性も毎日、鏡で顔を見ることです。ヒゲを剃りながらでも、じっくり自分の顔を観察して、ちょっとした変化に気をつけるようにしましょう。毎日観察することで体の異変をできるだけ早くキャッチしたいものです。

溜めてはいけないものは溜めない、流すべきものは体の隅々まで流す、そして代謝を高める。これが健康の基礎です。
これからも「解毒」「さらさら」「代謝」というテーマを基本に、これらを実現するためのいろいろな方法論を探っていこうと考えています。

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