みんすまスタッフがインタビュー!ハイテクによる睡眠環境を開発している方に、眠りの質を高める工夫について教えていただきました。
松下電工(株)快眠システム事業推進グループ・塀内隆博さん

松下電工(株)
快眠システム事業推進
グループ・塀内隆博さん

心地よい眠りを得るためにすべきことは……、
照明に気を配る? 湿度を高める? パジャマを替える?
そうです、どれも大切な要素です。でも、
どれかひとつだけ改善しただけでは、完璧ではないのだとか。
そんな奥深い睡眠について科学的に研究し、
照明、映像、音、寝具の総合技術によって快適な睡眠環境をつくり出した、
松下電工(株)快眠システム事業推進グループ・塀内隆博さんに、
眠りの質を高めるための様々な工夫についてうかがいました。

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ぐっすり眠り、すっきり目覚めるためには、生体内のリズムを正しく保つことが大切です。

私たちには、サーカディアンリズムと呼ばれる生体内のリズムがあります。睡眠に関するものでは、昼間に活動し、夜は眠るという睡眠・覚醒のリズム、朝方に最低体温になり、夕方に最高体温になる深部の体温リズムがあります。これら約1日を周期とするリズムを規則正しく保つことは、快い睡眠にもつながる大切なこと。睡眠は夜だけでなく、朝から夜までの1日のリズムが大きく影響するのです。

■理想的な睡眠・覚醒リズムと体温リズム

1 目覚めの悪さが、午前中のだらだらにつながります。毎朝スッキリと目覚めるためには、どんなに就寝時間が遅くなっても、毎日の起床時間を決めて目覚めのリズムをつくることが大切です。
2 睡眠不足が昼間の眠気を強め、居眠りの原因となります。眠気を解消するためには、仮眠をとることが有効です。起床後にストレッチを行えば、スッキリ感がさらにアップします。
3 脳と身体の切り換えが、寝つきの善し悪しを決めます。寝つきをよくするためには、ストレッチや音楽などでのリラックスや、入浴などで身体を温め、交感神経を和らげることが効果的です。
4 ノンレム睡眠にどう入っていくかが、眠りの質を左右します。眠りの質を高めてぐっすり眠るためには、途中で眠りを阻害されないよう、睡眠環境に気を配ることが重要になってきます。
サーカディアンリズム=睡眠・覚醒リズム、体温リズムなどが20〜28時間周期で変動する生体リズム。circa=「約」 dian=「1日」のという意味のラテン語が語源
照明、映像、音、寝具を総合的にコントロールして、心地よい睡眠環境を提供する“スイミンルーム”。

睡眠学の専門家の意見も聞きながら睡眠について研究し、眠りの質を高めるために開発したのが松下電工の“快眠システム”。そのシステムを内蔵した“スイミンルーム”では、照明、映像、音、寝具を総合的にコントロールし、入眠から目覚めまでをサポートして、よりよい睡眠環境をつくっています。では、このシステムに採用している各要素について、ご説明しましょう。

■照明
睡眠時にはメラトニンという物質が分泌されてスムーズな眠りに入ります。ところが光にはメラトニンの分泌を阻害する450〜460ナノメーターの波長が含まれていて、この光を浴びていると眠さが抑えられてしまうのです。そこで入眠時に点灯する照明は、青白い色の波長をカットしつつ、他の色を調整して気分が落ち着くような色合いを実現。この照明が徐々に暗くなっていくように設計しました。
起床時は、起床時間の30分前から、朝日が射すように徐々に明るくなるようにつくっています。このときの照明は、蛍光灯ではなくLEDを採用。顔にあたる光は徐々に明るくすることで、眠りが浅くなるように導き、体のタイマーをリセットして1日をスタートさせます。

快眠システム

快眠システム

■映像・音
映像と音もこのシステムのためにつくったオリジナルです。朝は目の覚めるようなさわやかな映像と音、夜は見ていると寝てしまうようなゆるやかな映像と音で構成しています。
どちらも、草木や夕焼けなどの自然の風景を使っていますが、これは自然な色・音であれば安心できるから。
そもそも眠るという行為は、外敵に対して無防備になってしまいます。その状態から守るために、穴ぐらを寝る場所にしたのが寝室のはじまり。だから、安心して心地よい睡眠に入るために、人工的なものではなく、心が安らぐ自然の風景や音を採用しているのです。

■寝具
就寝時に操作を開始すると、まずベッドがディスプレイの見やすい位置まで起き上がり、同時に足をストレッチさせ、リラックスできるようにします。その後、入眠モードに入るとベッドがゆっくりフラットになり、足だけのストレッチが全身に拡大。ベッドの中に入っている13個のエアバッグが、約20分かけてこわばった体をゆるめ、全身をやさしくほぐします。
もしマッサージしている間にウトウトしてくれば、生体センサーが感知して、速やかにマッサージの刺激を抑えて熟眠モードに移行。よけいな刺激を与えることはありません。

体のリズムを正しく整えるには、昼間に外の光を浴びて、体を動かすのが効果的です。

“快眠システム”は、睡眠・覚醒のリズムをサポートしていますが、生活を見直すことでもリズムを整えられます。正しいリズムのための基本は、昼間にしっかり光を浴びて、体を動かすこと。そして寝る前にお風呂に入ると、就寝時に体温が下がって、なおいいでしょう。
リズムを調整する好例として、サッカー選手などが海外遠征へ行ったときの時差ボケ解消法があります。それは、現地に着いたその日に、グラウンドで軽く体を動かすというもの。光を浴びながら体の深部体温を上げることで、活性度が落ちている体に、まだ昼だということを分からせるのです。これにより、現地の昼夜リズムに合った体に整えられるのです。

脳の発育にも影響を与える子供の睡眠。大人と同様、子どもにも正しいリズムをつくってあげましょう。

24時間営業のコンビニエンスストアがあるなど、深夜まで活動するようになった現代においては、リズムがずれている人が増えています。特に最近ではお子さんでもリズムがずれてきている人が多くなってきました。子どもも大人と同じく、睡眠の生理から逃れられないのです。
5歳くらいになっても2歳児と同じ様に保育園で昼寝をしたり、親と一緒に遅くまで起きている子どもたちは、寝つきが悪く、夜ぐっすり眠れなくなります。そうすると前頭葉の発達が遅れ、感情を抑えたり、相手を思いやったりすることができなくなってしまうのです。だから、子どもも生体リズムをうまくつくってあげることが大事です。
ほとんどの子どもは昼間に学校へ行き、昼食をとり、体を動かすので、基本的に生体リズムは正しくなりやすいはず。まずは、就寝時間、昼寝、起床時間などの睡眠に関わる生活を見直してみましょう。そして、寝る前は白熱灯のスタンドなどを使い、少し暗めの照明にし、体温を下げるためにお風呂に入ってから寝るようにしましょう。朝の起こし方も重要で、できれば徐々に明るくしてあげるといいですね。そのため子ども部屋も、光をうまく調整できる多灯照明が理想的です。

湿度50%以上、通気性のよいパジャマ、マッサージなども、スムーズな睡眠へ導く手段のひとつです。

快適な眠りへ導くためには、光が大きな役割を果たしますが、その他にも工夫できることはあります。

■湿度
温度はあまり快眠に影響がありませんが、湿度は万国共通で50%以上必要だと考えられています。50%を下回ると、鼻の粘膜が乾いてしまい、肺に潤いを与えられにくくなってしまうのです。上限はなく100%でもよいのですが、これだと粘膜にはやさしいものの、結露など、家にはやさしくありません(笑)。そのため、一般に湿度50〜60%がよいとされています。

■パジャマ、リネン類
深い眠りに入るためには、体温を下げやすくする必要があります。体温を下げるためには、“汗をかく”か“末梢系の血管を拡張させて熱を発散させる”の2通りしかありません。汗をかくことを考えれば、パジャマやリネン類は吸汗性・通気性にすぐれたものがいいでしょう。また、末梢系の血管を拡張させるためには、足をあたためる方法も有効です。ただし、背中まであたためてしまうと、かえって体温を上げてしまうので注意しましょう。

■マッサージ
睡眠にはマッサージなどの触感も影響します。マッサージといっても強い動きではなく、体をさする程度のやさしいタッチ。皮膚へのソフトな刺激が眠りにいいのです。美容院で髪や頭を触られると気持ちいいのと同じ感覚です。子供を寝かすときにも、上から下へやさしくさすってあげると効果的です。

■香り
香りで人間の神経が影響を受けるというデータはないのですが、香りによってリラックスできるのであれば、意味があると思います。寝る直前までテレビやゲームに夢中になっていると眠れないことがありますが、これは大脳皮質が興奮しているため。香りでリラックスできれば、大脳皮質の興奮を鎮めることにもなります。人によって好みはありますが、眠るための手段のひとつとして香りを利用するのもいいと思います。

何かひとつを解決するだけで、快い睡眠は得られません。やるべきことはたくさんあるのです。

ひとくちに生体リズムといっても、人によって異なるし、同じ人でも日によって異なるものです。そのような微妙な変化に対応して、光や体への刺激をきめ細かく調整し、生体リズムを正常に整えられると、健康で快適な毎日を送れるでしょう。もしかしたら、未来の寝室には、そんな高度な機能が備わるかもしれませんね。
今、もし手近なところではじめるのであれば、さっそくパジャマからはじめてはいかがでしょうか? 私は出張するときにも必ずマイパジャマを持っていくようにしています。着なれない浴衣では、ぐっすり眠れませんからね。

このように、眠りの質を高めるためにやるべきことはいっぱいあります。どれかひとつできたからといって、すべてがよくなるわけではなく、睡眠は総合的に見ていく必要があるのです。

外部サイトへのリンクです松下電工Suimin'Room(松下電工のサイトへ)

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