みんすまスタッフがインタビュー!ずっと住み続けられるように配慮する、ユニバーサルデザインの住まいについて伺いました。

かつて、病気によりからだの不自由な生活を経験した一級建築士・渥美利幸さん。
そのときの不便な生活体験から、良好な住環境の重要性を実感。
それ以来、ユニバーサルデザインの考えを取り入れ、
長い目で見て住み続けられる生活環境づくりを実践しているそうです。
現在は、三井不動産のケアデザインプラザで、
住まいのコンサルティングも行っている渥美さんに、
ユニバーサルデザインを導入した住まいについて、
その考え方や評価のポイントなどを伺ってきました。

一級建築士・渥美利幸さん

一級建築士
渥美利幸さん

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すべての人が、公平に利用できるものをめざす。これがユニバーサルデザインの考え方。

「ユニバーサルデザイン」という言葉が一般にも浸透してきていますが、ユニバーサルデザインとバリアフリーデザインを混同していることが多いようです。まずは簡単に違いを説明しましょう。

■バリアフリーデザイン

対象者がいて、何らかの問題に対する解決として施すデザイン。例えば、車椅子での移動や出入りができるようにデザインしたり、視覚障害者のために誘導ブロックを設置するなど。

■ユニバーサルデザイン

できる限り、すべての人が利用できるように施すデザイン手法。ユニバーサルデザインの提唱者、ロナルド・メイスらが、次のように原則としてまとめています。

【ユニバーサルデザイン7原則】

1.誰にでも公平に使用できること。
2.使う上での自由度が高いこと。
3.簡単で直感的にわかる使用方法となっていること。
4.必要な情報がすぐ理解できること。
5.うっかりエラーや危険につながらないデザインであること。
6.無理な姿勢や強い力なしで楽に使用できること。
7.接近して使えるような寸法・空間になっていること。

生活スタイルが変化しても住み続けられることが、住宅でのユニバーサルデザイン。

ユニバーサルデザインを住まいに導入する目的は、3つ挙げられます。

1.少しでも対象者や対応できる状況の幅を広げること。
2.その対象者の日常の使い勝手を上げること。
3.安全性の向上を図ること。住まいでいえば、住戸内事故を減らすこと。

ユニバーサルデザインによる住まいづくりでは、「高齢者向けのものをつくるのではなく、高齢になっても住み続けられる住まいをつくる」が基本の考え方です。購入する時点だけでなく、妊娠してお腹が大きくなったとき、子供の手を引いて歩くとき、子供が1人で行動するとき、高齢になったときなど、30代、40代、50代、60代……と、将来的な生活スタイルの変化も見据える必要があります。そして、どの年齢になっても快適に暮らせることが重要なのです。
これはある意味、住宅の基本性能でもあります。建物は人が使うものだから、人が使いにくかったら仕方がないのです。つまり、住宅でのユニバーサルデザインは、当たり前のことを当たり前にすること。それによって、ずっと住み続けられるようにしましょう、という考え方なのです。

そこに誰が住むかによって、必要な性能は変わるもの。住む人を見極めてから、総合的に判断します。

すべての人にとって利用可能であることがユニバーサルデザインの考え方ではありますが、「すべての人」には多様なプロフィールがあります。例えば、年齢、性別、体格、身体状況、行動能力、操作能力、認知能力、文化、言葉、国籍、人種、職業……、等々です。
「すべての人」が安全に住みやすいのが理想ですが、すべての建物でそれを形にしていくと無駄になってしまう内容ができてしまう場合があります。マンションや戸建住宅の設計においては住む人を想定し、そのプロフィールに合わせてデザインしていきます。原則は「住み続けられる」ことですが、そこにどんな人が住むかによって、必要な内容は変わるのです。

また、個々のお客様の住宅設計やリフォームのコンサルティングのように、対象者が決まっている場合は、その方々のプロフィールと、将来のことを想定します。そして住まいの性能を判断するには、その方々にとってのふさわしさを現在と将来にわたってと、総合的に評価していきます。セルフチェックには、「住まいのチェックチャート」を用いて、1つ星〜3つ星で採点することを私はおすすめします。そうすれば、自分たちにとっての「ふさわしさ」が見えてきます。そうすると、採点の見落としがなく、評価も分かりやすくなるのです。皆さんも、住まいを検討するときに、活用してはいかがでしょうか。

物件評価チャート

物件評価チャート

集合住宅では、共用部は全てユニバーサルデザインに、専有部はユニバーサルデザインと将来対応可能な部分に。

集合住宅(マンション)のユニバーサルデザインについては、共用部と専有部に分けて考えます。

〈共用部〉

共用部はユニバーサルデザインが求められます。できる限り誰もが、外部〜建物内〜各住戸へアクセスできなければならないからです。そのためには、スペースの確保、バリアフリー化、操作・動作、環境の整備の3点がポイントです。この3点に注意して、エントランスから住戸に入るまでを辿りながら見てみましょう。

・エントランス

階段などの段差があると、車椅子では通ることができませんし、ベビーカーや足腰に不安のある人も苦労します。最近のマンションでは、スロープが設置されているところが多く、エントランスの段差については解消されつつあるようです。

・オートロックの操作盤

オートロック操作盤の設置状況によっては、背の低い子供や車椅子の人などは使いづらいことがあります。モニター付の場合は、カメラ位置も適当でなければなりません。

・エレベーター

エレベーターの操作・動作については、操作しやすいボタンと位置、インジケーターの見やすさなどがカギを握ります。また、車椅子が回転できるくらいのスペースが望ましいですね。

・住戸玄関(外側)

玄関にアルコーブ(※)がある場合、アルコーブと共用廊下に段差があるのはよくないですね。また、玄関ドアを開いたとき、ハンドル側に十分なスペースが必要です。ここが狭いと、妊婦や子供連れ、荷物が多い人、車椅子など、多くの人が出入りしにくくなってしまいます。

アルコーブ

※アルコーブ:

本来は、部屋や廊下など壁面の一部を少し後退させて作る窪みや空間のこと。
マンションの場合、共用廊下から少し引き込んだ各住戸の玄関前部分をアルコーブという。

 

住宅情報ナビ 住宅用語大辞典より引用

〈専有部〉

玄関や水まわりは、構造躯体に大きく関係するため、後から改修するのが難しい部分。そのため、あらかじめユニバーサルデザインにするのが理想です。その他の部分については、入居者の状況に応じて、将来的に対応できるようにしておくことが求められます。

・住戸玄関(内側)

玄関ドアの下の段差は、どうしても生じやすいのですが、解消されているほうが望ましいですね。また、上がり框も段差がありますが、できるだけ段差は少ないほうがいいでしょう。どちらの段差も、後から直すのは困難ですので、きちんと見ておくべき部分です。

・水まわり

水まわりは配管の関係などで、床に段差ができていたり、ユニットバスの入口に立ち上がりが生じていたりします。ここも手直しできないことが多いので、出入りのしやすさをチェックしておきたいところです。

・その他

手摺をつけるための下地が補強されていたり、出入り口の幅が広げられるなど、将来、必要に応じて改修できることがポイントです。

目に見える問題だけに捉われるのではなく、総合的に生活環境を見ることが重要です。

現在、三井不動産のケアデザインプラザでコンサルティングを行っていますが、ここでは個々のお客様の問題解決のお手伝いをしています。実際のリフォームで気をつけていることは、身体が不自由になった方のためだけでなく、ご家族の住み心地を損なってはいけないということです。住まう方全員が気持ちよく暮らせるよう、目に見える問題だけでなく、総合的に生活環境を見極めるようにしています。

このように、住まいは幅広い視野をもちながら、時間軸をもって将来も見据えて判断する必要があります。元気なときだけではなく、何かあったときにも同じように住み続けられること。そんな長い目で住まいについて考えていただきたいと思っています。

外部サイトへのリンクです三井不動産のケアデザインプラザ(三井不動産「ケアデザインプラザ」のサイトへ)

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