みんすまスタッフがインタビュー! 母犬と子犬の成長を通して、“命”や“家族”までも考える。そんな本を編集した方に、「犬と共に生きること」について話していただきました。

コピーライターの糸井重里さんが主宰するWebサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』で、
大きな反響のあったページ『Say Hello! あのこによろしく。』。
母犬のルーシーが3匹の子犬を出産し、育てて、やがて巣立っていく姿が、
著者・イワサキユキオさんの言葉と写真で綴られている感動のストーリーです。
そのリアルなドラマは、愛があふれていて、“命”そのものが映っていて、
見るもの一人ひとりの心に、静かに深く響いてきます。
今回は、これを1冊の本にした編集担当の東京糸井重里事務所・武井義明さんに、
犬と共に生きること、著者と犬の関わり、制作の裏話などについて伺いました。

東京糸井重里事務所・武井義明さん

東京糸井重里事務所
武井義明さん

SPECIAL

インタビューバックナンバー

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偶然が重なって生まれた犬たちとの出会い。読者もみんな、犬に出会って何かを感じたよう。

最初はWebサイトの『ほぼ日刊イトイ新聞』で取り上げ、その後、本として世に送り出したのですよね。どんなきっかけでルーシーと子犬たちに出会ったのですか?

武井さん

実はイワサキさんが所属する会社は昔から糸井と仕事の付き合いがあり、僕もたまたま友人関係だった、という偶然が重なって出会いました。そしてあるイベントで犬たちの写真を見て、糸井も僕も“これは世の中に出すべきだよね”と。まずはWebで紹介して、最終的に本にできれば……、ということで始めたのです。糸井にとっては、ニコ(子犬の1匹)を引き取るというドラマがその後に続くわけです。

最初から盛り上がって、最終回は過去最高のアクセス数を記録したそうですね。

武井さん

あそこまで多くのメールをもらったコンテンツは他にないですね。読者からのメールには“かわいい”や“感動した”もたくさんありましたが、この写真をきっかけに何かを語るという人もすごく多かったんですよ。“おばあちゃんのことを思い出しました”とか、“お母さんが私を育てるときこんな感じだったってわかりました”とか、“今おなかに赤ちゃんがいます”とか。糸井が“この本の主人公は命そのものだ”といっていました。命。家族。絆。いつか離れていく関係。そういうものが詰まっているのだろうと思います。

Say Hello! あのこによろしく。
Say Hello! あのこによろしく。
犬たちの生き生きとした表情が撮れたのはあふれんばかりの愛情があるからこそ

イワサキさんの写真からは、あたたかさを感じますよね。やはりあの写真は、イワサキさんだから撮れたものなのでしょうか?

武井さん

そう思いますね。イワサキさんはルーシーの子供時代から撮っていましたが、特にいいのは家族写真です。イワサキさんも含めて、母犬ルーシーと子犬たちが特別な信頼関係で結ばれていたのだと思います。プロの写真家にもほめていただきました。もちろんイワサキさんは仕事として撮っているわけではないので技術がとびぬけているとは言えないと思います。でも、たっぷりの愛情があるんです。彼だけには、犬たちの輝いている瞬間が見えるんでしょうね。

この本は、読むたびに涙が出てくるのですが、本をつくりながら泣いてしまうことはありませんでしたか?

武井さん

泣きましたよ。つくりながら何度涙を流したことか。最初にサンコがいなくなるときなんて、原稿を読んで泣きながらつくっていましたよ。印刷などの技術スタッフも大変な作業をがんばってくれました。この写真には人を動かす力があると思いますね。

犬は自分の家族。自分の子供。一緒に暮らす環境をつくることも大切です

イワサキさんと犬とのふれあいを間近で見ていて、どのように感じますか?

武井さん

犬を飼っているというよりも、“家族”という感じ。犬との距離がとても近い気がします。いつも一緒にいるし、いつも一緒に出かける。いつも一緒に自宅と事務所を往復していますよ。散歩もきちんと連れて行けます。ずっと一緒にいられる環境だからこそ、飼えたのかもしれませんね。

イワサキさんのことを“ルーシーパパ”と呼んだりもしていますよね。本当に家族なのですね。本の最後に巣立っていった子犬のブイヨンちゃん(本の中ではニコちゃん)は、糸井さんご夫妻と暮らしているそうですが……。

武井さん

糸井の奥様の樋口可南子さんも、やっぱり“ブイヨンちゃんのお母さん”です。ブイヨンを迎えるにあたっては、引越しをして生活も変えたようです。飼うためには、それだけの覚悟をしたんですね。ブイヨンを飼うと決めた当初は、一緒に暮らすための家が見つからず、一度は諦めたくらいなんです。どうやったら犬を飼えるか、相当話し合ったのではないかと思います。イワサキさんも、ルーシーと暮らしはじめるときに引越しましたしね。

家族の一員として認めているからこそ、引越しの決断をしたのですね。イワサキさんが家を選んだポイントは、どんなことだったのでしょうか?

武井さん

彼はもともと都心に住んでいたのですが、ルーシーと川べりを散歩したいと考えて、川の近くを選んだようです。やっぱり散歩しやすい環境と、飼っていいという住まいがポイントでしょうね。家の中は写真を見てもわかるとおり、とてもキレイです。以前は、インテリアとして雑誌を積み重ねたり、額を立てかけたりと、床に物を置くのが好きだったらしいのですが、それはやめたみたいですね。もともとオシャレでキレイですが、朝起きたら必ず掃除をしているそうですよ。

犬と暮らすために、住環境にも気を配っているのですね。

そこにいるだけで、気持ちを和ませてくれる犬。でも、一緒に暮らすには責任と覚悟が必要。

糸井さんはよくオフィスにブイヨンちゃんを連れてくるそうですね。今日もブイヨンちゃんが私たちを出迎えてくれましたが、オフィスに犬がいるのっていいですね。

武井さん

本当に、犬がいると和みますよ。お客様と一瞬にして打ち解けられるのって、犬がいるからかもしれません。まさにスーパー受付嬢(!!)です。スタッフもちょっとリフレッシュしたいときは、ブイヨンに遊んでもらっています。夜、樋口さんがお迎えにくることもあるのですが、樋口さんの顔を見るとブイヨンはすごく喜ぶんです。ちょっと悔しいくらい(笑)。そういえば、糸井が以前よりも少し早く帰るようになった気がします。

Say Hello! あのこによろしく。

いつも夜遅くまで会社にいた人が、子供が生まれたとたん早く帰宅するようになったりしますよね。やっぱり犬は我が子なんですね。

武井さん

そう、それだけ責任もあると思います。本が売れれば売れるほど犬を飼いたい人が増えるかもしれないと思い、あえて本の最後にも入れたのですが、犬と一緒に暮らしていくには、覚悟と責任が必要です。お金を出しさえすれば、誰だって簡単に飼うことはできます。生まれて数カ月の犬は、体も小さくて本当にかわいいですから、飼いたいと思う人もたくさんいるでしょう。でも、イワサキさんも糸井も犬を飼うために引越しまでしました。自分たちのライフスタイルを変える必要だってあるということです。その覚悟がないままに、犬を飼ってはいけないと思います。

単純にかわいいというだけで安易に飼うのはよくないですね。親として、家族としての覚悟と責任は絶対に必要です。

武井さん

やっぱり命なんですね。人間と同じ命。それを軽く考えてはいけないのです。命あるものとして生きているのですから、成長していきますし、やがては老いてもいきます。いつまでも小さな赤ちゃんではありません。何年経っても変わらず愛情を注いで、面倒をみなくてはいけないのです。

犬の寿命は10〜20年くらい。必ず最期はやってくるので、そのときまで親としての責任を果たさなくてはいけませんね。

武井さん

そうです。ですから、やがては犬の介護が問題になるといいますね。犬も歳をとると弱ってきますし、認知症にもなることもあるといいます。そのことまで覚悟しないと飼ってはいけないと思います。これは絶対に避けられない大事なことですから。

武井さん、ブイヨンちゃん、ありがとうございました。

外部サイトへのリンクですほぼ日刊イトイ新聞(ほぼ日刊イトイ新聞のサイトへ)
外部サイトへのリンクですSay Hello! あのこによろしく。(ほぼ日刊イトイ新聞のサイトへ)
ブイヨンちゃん(ニコちゃん)

私たちを出迎えてくれたブイヨンちゃん。
とびきりの表情を見せてくれるのは
イワサキさんの写真だからこそ。
たっぷりの愛情と信頼関係がないと、
いい写真は撮れないんですね。

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