今回の写真の舞台は、群馬にある築120年の日本家屋です。お客様がお泊まりになるときのゲストハウスですので、あまり頻繁には使わず、鉢を置いても水やりができません。しかし私としては、やはり植物の気配が欲しい。そんなジレンマを救ってくれるのが、疑似植物のフェイク・プラントです。
以前と比べると、フェイク・プラントは質、種類ともに格段の進歩を遂げました。花(アートフラワー)などは、散りかけの風情のものが混ざっていたり、葉に虫くいの跡があったり、大変リアルにできていて、まず見分けがつきません。
インテリアのご相談を受けるとき、私は必ず鉢植えのアドバイスをいたしますが、多くの場合、一般のご家庭では緑の量が圧倒的に足りないような気がいたします。「うちのインテリアはなんだか味気ない」「まとまらない」とお感じでしたら、思い切って観葉植物の大ぶりなものを入れてみませんか。「室内のシンボルツリー」のお勧めです。
天井近くまである高さのグリーンは、大きな空間をさりげなく区切るのに、大変便利です。以前、マンション空間の間仕切りとして横格子のフロアスクリーンをご紹介しましたが、大きな鉢植えは、それと同じような使い方ができます。たとえば来客が玄関に立ったときの視線のコントロールに、LDKのコーナー作りに、鉢のグリーンはどんな雰囲気の場所にもなじみ、重宝します。
私はここ2年以上、明治から昭和初期に建てられた洋館をたくさん見てまわっています。いずれ劣らぬ豪邸ですが、主のいない館というものは寂しいもの。家具が一切失われた家など、室内の空気がカチンと硬く、「時間が止まっている」という印象です。
古い館の魅力を引き立たせたく思い、私はときにちょっとしたコーディネートをすることがあります。「こんにちは」でご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、インテリア用品を配して暮らしのシーンを再現するのです。そのとき欠かせないのが花と緑。緑のみずみずしさを添えたとたん、主のいない洋館の止まっていた時計が動き出すような気がいたします。
実は私も、週日は東京のマンション、週末は群馬の古い家で二重生活をしているので、どちらかが3〜4日の間「主のいない家」になってしまいます。その留守を守り、殺伐たる空気になるのを防いでくれているのが、あちこちに配した鉢植えのグリーンです。食卓やサイドボードの上には、そのときどきの庭の花を切ったり、お花屋さんで買ったりして、いつもたっぷりの花と緑を室内に置いておくようにしています。