ツァイ・ヨシコ 暮らしの情景 暮らしに独自の美学をもつツァイ・ヨシコさんが綴るエッセイシリーズ。身の周りの事から旅先で切り取った印象深いシーンまで、詩情あふれるヨシコ・ワールドをご堪能ください。 みんなの住まい メールマガジン メンバー登録はこちらから ツァイ・ヨシコ -暮らしに独自の美学をもつツァイ・ヨシコさんが綴るエッセイシリーズ。身の周りの事から旅先で切り取った印象深いシーンまで、詩情あふれるヨシコ・ワールドをご堪能ください。
−書架をめぐるストーリー

「本 」は犬に次いで人類最良の友です。今では当たり前な物として私たちの周りに存在する書物ですが、よくよく考えてみると、本棚に整然と並べることができ、欲しい時に欲しい巻を簡単に取り出し、好きなページを瞬時にめくることができる「本」とは、本当に素晴らしい大発明ですね。また書架・本棚やブックエンドなども、本に付随して発達してきました。書物はその実用的なことと平行して、装丁の美しさも大変重要な要素となっています(この点では電脳本などはまだまだ比較にもなりません)。

群馬の家の書斎です。

拡大 

群馬の家の書斎です。右端に見えるのは後で登場する中国の歴史書の書架です。

私は本が大好きでいつも身近に本がたくさんあり、書籍のディスプレイには、実用とインテリアの装飾をかねて試行錯誤してきました。室内装飾に限ると、背表紙と文字の色合いやデザインは本の一番大事な要素です。私は本を書架に並べるとき、均整がとれた落着きのある色合いと、大きさのバランスを特に重視しています。今回は、いくつかの日常の場面・生活のゾーンでの本の陳列の例を取り上げてご紹介しようと思います。

最初の写真は私たちの書斎で、大きな書架が壁を覆っています。ここは大変居心地のいい読書の場です。しかし本はこのように1カ所にまとめて収納する必要もなく、本を必要とする場所に取り出しやすく置いておくのも良い方法です。たとえばお料理関係の本は、キッチンのどこかに置きたいものです。お皿や陶器類の傍らにお料理の本を置いておくことは、実用的なことはもとより装飾的な可能性も十分秘めています。またガーデンブック類は、我が家では庭を見下ろす窓辺にあります。ソファーに座ってお庭を眺めながら、「さて次はどこをどうしようかな〜」などと思索をめぐらす時、すぐ手元にあり参考にできるので便利です。この類の本は、背表紙はグリーン系が多いので背景のお庭に良く似合います。

キッチンにはクックブック、パーティーブックが並んでいます。

拡大 

キッチンにはクックブック、パーティーブックが並んでいます。下は水屋箪笥で食器入れとして使っています。

居間の「ガーデンブック」コーナー。

拡大 

居間の「ガーデンブック」コーナー。グリーン系の表紙が室内外になじみます。

中国の「二十四史」と専用書架。

拡大 

中国の「二十四史」と専用書架。
御馴染みの史記や魏書も含まれています。

群馬の私の家には、中国の歴代王朝の歴史書「二十四史」と専用の大型書架があります。これは夫の家から来た中国の古いもので、日本ではちょっと珍しいのでここでご紹介しましょう。二十四史とは史記、漢書、後漢書…から始まり、明史までの二十四の朝廷の正史で、千冊以上で構成される膨大なセットです。
夫が史記列伝や魏書倭人伝などの有名な章を訳して読んでくれました。特に面白いのは書架のアレンジメントです。写真のように、書架の扉には「宋史」「金史」などと書名が大小不規則な枠内に記されていますが、扉を開けるとなんと書籍がその枠の形どおりに収納されている仕掛けになっています。古くからの整理法らしいのですが、そのアイディアには脱帽です。

梁を利用した書棚。

拡大 

梁を利用した書棚。梁の向こう側も同じようになっています。下の暖炉の両脇も本のコーナーです。

都会の集合住宅では、往々にして建築構造の一部として大きな梁が天井を横切っています。東京の私の住まいでは、このような目障りな梁を逆に利用して書棚にしています。これは場所をとらないのと同時に、とても目立つ本棚です。リビングルームにあるこの梁書架には、特に革表紙・金文字のクラシックな本を選んで並べてあり、室内装飾の一部としての役目も果たしています。

遺跡と鹿の楽園

お風呂の記憶、お風呂の理想

ツァイ・ヨシコ

東京でのマンション暮らしと群馬での田舎暮らしを舞台に活躍するインテリア・デザイナー。時間に磨かれた古い家具を現代の暮らしのマッチさせるヨシコ流インテリアには、ファンが多い。公私ともに国内外への旅が多く、独自の視点による見聞も暮らしを豊かに彩っている。

タイトル一覧
関連コンテンツ
ツァイ・ヨシコ 暮らしのアトリエ

ページTOP