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カリフォルニア見聞録(1) −ハイテクの町の不思議なミュージアム

義母の住むサンフランシスコ・ベイエリアには、年に1度は母に会いに夫婦で訪れます。
ここはシリコンバレーとよばれる米国随一のハイテク地区、大小の半導体産業がたくさん操業しているところで新興の活気に満ちています。そんなハイテクエリアでありながら、おもしろいことに大変古風で不思議なミュージアムがあります。

まずご紹介するのは、「ウィンチェスター・ミステリーハウス」です(Winchester Mystery Houseのサイトへ) 。ここはだいぶ前から気になっていた建築物ですが、このたび初めて訪れました。「西部を開拓した銃」として名高いウィンチェスター銃を生み出したウィンチェスター銃器社の社長夫人が、夫の亡き後豊富な資金を投入し、彼女が死去するまでの38年間の長きにわたり、絶え間なく増築し続けた6エーカーに及ぶ広大な屋敷群です。西部大開拓時代の栄光の残照がこのような形でシリコンバレーの中心のサンホセ市に今もしっかりと残っていることにまずは驚きました。

彼女は、「夫と娘の早世はウィンチェスター銃で殺された多くの人々の呪い」と考え、その霊たちを迷わせるために迷路のような奇妙な屋敷を作り続けたのだそうです。屋敷はとりとめなく広く複雑に出来ていて、天井で行き止まる階段があるかと思えば、何もない空間にいきなり 開かれる2階の扉など、奇妙な仕掛けが数多く仕組まれており、忍者・からくり屋敷みたいです。

彼女の愛した数字は13で、それが建築やインテリアのいたるところでとりこまれています。例えば帽子掛けの数、シャンデリアの蝋燭の数、一つの窓枠内の桟の数・・・・など。彼女の大のお気に入りが蜘蛛の巣のデザインというのも不気味です。亡霊に始まる建設動機や設計の奇妙さはなんと形容してよいのか表現が思いつかず、「ミステリーハウス」というのが絶妙なネーミングなのかなと納得いたしました。

ウィンチェスター・ミステリーハウスの外観。

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ウィンチェスター・ミステリーハウスの外観。基本的にはビクトリア風です。外観はいかにも明るく平和的ですが内部はなんともミステリアス。正面に見える玄関は38年間誰ひとり通らなかったそうです。

ミステリーハウスの中の数十部屋ある寝室のうちの一つ。

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ミステリーハウスの中の数十部屋ある寝室のうちの一つ。ミセス・ウィンチェスターは毎晩違う寝室を使うので、召使でさえ彼女の居場所を把握できなかったそうです。

エジプト博物館の正面玄関。

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エジプト博物館の正面玄関。ここがシリコンバレーの真ん中だと信じられますか?カルナック神殿を模倣したデザインだそうです。

ネフェルティティやクレオパトラが出てきそうな雰囲気です。

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ネフェルティティやクレオパトラが出てきそうな雰囲気です。青々した芝生の代わりにここが砂漠であればよりエジプト的ですね。

なかなかの美人スフィンクスを見つけました。

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なかなかの美人スフィンクスを見つけました。

サンホセの町にはもう一つのとっておきの不思議ミュージアムがあります。「薔薇十字会・エジプト博物館」です(Rosicrucian Egyptian Museum & Planetariumのサイトへ)。
ここを運営している薔薇十字会(Rosicrucian Order)は、フリーメーソンと並んで語られるミステリアスな秘密結社的な組織だそうで、もうそれだけで訳が分からなくなります。いにしえの十字軍時代に起源をもつこの神秘主義結社が、中世を生き延び、現代のアメリカで今なおこのように活躍しているということは、私にとり信じがたいことです。

しかし博物館の中身は怪しいものではなく、アメリカ西部で最大規模のエジプト文物コレクションを誇る大変立派なものです。立地しているのは古くからの住宅街の真っ只中です。カリフォルニア風の青い芝生の平穏な住宅地の風景のなかに建つ、古代エジプトのカルナック神殿を模倣した大型建築物。その強烈な対比は、私の想像の域を遙かに超えていて、SF的なショックを受けました。子供のころから私はエジプト文明にはとても心を惹かれてきたので、ここはいつ訪れても言葉にならない不思議な感覚に包まれます。

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ツァイ・ヨシコ

東京でのマンション暮らしと群馬での田舎暮らしを舞台に活躍するインテリア・デザイナー。時間に磨かれた古い家具を現代の暮らしのマッチさせるヨシコ流インテリアには、ファンが多い。公私ともに国内外への旅が多く、独自の視点による見聞も暮らしを豊かに彩っている。

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