ツァイ・ヨシコ 暮らしの情景 暮らしに独自の美学をもつツァイ・ヨシコさんが綴るエッセイシリーズ。身の周りの事から旅先で切り取った印象深いシーンまで、詩情あふれるヨシコ・ワールドをご堪能ください。 みんなの住まい メールマガジン メンバー登録はこちらから ツァイ・ヨシコ -暮らしに独自の美学をもつツァイ・ヨシコさんが綴るエッセイシリーズ。身の周りの事から旅先で切り取った印象深いシーンまで、詩情あふれるヨシコ・ワールドをご堪能ください。
ハノイ紀行(1) −憧れの南海の古都を訪ねて

何 年前になるでしょうか、「青いパパイヤの香り」という仏越合作の映画があり、ベトナムの生活様式、家屋のたたずまい、風景、装いの美しい映像が大変印象に残りました。それ以来ベトナムは私の憧憬の国でしたが、今回初めて訪問することになり、胸躍らせてやってきました。

東アジアにはお箸と漢字を使う文化圏がありますが、ベトナムは中国、日本、朝鮮半島と同じくこのお仲間の文化圏に属します。そのためか、お国振りはどこか懐かしく思えるところがあります。例えば「ありがとう」はベトナム語では「ガァムオン」ですが、漢字では「感恩」と聞くと何となく納得です。今回訪れたハノイ Ha Noiは、漢字では「河(ハ)内(ノイ)」です。ちなみにベトナムは漢字では「越(ベト)南(ナム)」です。約100年前のフランス統治時代にローマ字化されてしまったのは漢字文化圏の住人としては残念です。

ハノイの美しい市街地。湖と川と緑が特徴的です。

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ハノイの美しい市街地。湖と川と緑が特徴的です。

ハノイ旧市街にある約100年前の商人宅の中庭に面したテラスで。

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ハノイ旧市街にある約100年前の商人宅の中庭に面したテラスで。間口が狭く細長く中庭がとってあるのは,京都や杭州の住宅と同じ様子でした。

ハノイはベトナムで最も緑あふれる美しい都市だそうです。市内は常緑の大樹が街路樹をなしていて、盛夏の市街に濃緑の蔭を落としていました。またハノイは湖と川がたくさんある街です。30年前終結した戦争の傷跡は市内には見当たりません。もっとも、この街のどこのバーに行っても、カクテルリストに必ず「B52」という米軍爆撃機の名を冠したモダン系カルーアベースのカクテルが載っていましたが、これはベトナム風ユーモアのセンスでしょうか。

ハノイの旧市街で迷子になって。

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ハノイの旧市街で迷子になって。この日買った日よけ笠「ノン」はかぶってみると頭にぴったり収まり、気に入って日本に持ち帰りました。

「ハノイビール」を飲んで一服。

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「ハノイビール」を飲んで一服。このコロニアル風帽子は地元の人々に愛用されていますが、同行したフランス人によると、彼らは過ぎし植民地支配の歴史に遠慮して、ここでは決してかぶらないそうです。

ハノイの町の住宅はおおむね4〜5階建ての建物で、東洋と西洋の要素を半々に取り入れています。写真でご覧いただくように、最上階は必ずといっていいほど屋根付のオープンスペースになっていて、大変居心地がよさそうです。暑い国ならでは空間の工夫だと思いました。

ハノイの道路交通事情について一言:
市内に交通信号はほとんどありませんが、信号のない十字路でも、大量の交通はちょうど織物の縦糸と横糸を織り成すように、ぶつかることなく交差し合い、効率よく流れていたのには大変驚きました。

上から見たハノイの住宅。

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上から見たハノイの住宅。屋上のスペースが快適そうです。

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ツァイ・ヨシコ

東京でのマンション暮らしと群馬での田舎暮らしを舞台に活躍するインテリア・デザイナー。時間に磨かれた古い家具を現代の暮らしのマッチさせるヨシコ流インテリアには、ファンが多い。公私ともに国内外への旅が多く、独自の視点による見聞も暮らしを豊かに彩っている。

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