暮らしに装いを エレガントマナー
マナーコーディネーター 住友淑恵
1977年生まれ港区在住。有限会社セレブスタイル(マナー教室)を設立。現在サロンでのレッスンや企業研修、講演、トークショー、TV雑誌メディアへの出演も多数。 ◆このブログでは、毎日をもっと豊かにするための、簡単で楽しいマナーのノウハウをご紹介します。
お正月を迎える「住」のしつらえ
2008年12月11日
住まいのお正月準備
みなさま、こんにちは。住友淑恵です。

今年もあと半月、みなさまのご家庭では、お正月の準備は進んでいますか?最近は、仕事納めが過ぎた頃に、家の大掃除に取り掛かるという家庭がほとんどだと思いますが、本来は、12月13日の「すす払い」が、本格的なお正月準備のスタートです。マナーでは、何事も早めに準備することが肝心なので、私も今のうちから少しずつ、換気扇やエアコンなど、普段なかなかできないところの掃除に取り掛かろうと思っているんですよ。
お正月は、一年間の健康と幸せを願うための大切な行事であることは、みなさまもご存知かと思います。また、農耕民族の日本人にとっては、古来、年神様を迎えて作物の収穫を感謝し、新しい年の豊作を祈るという特別な風習でもありました。家を清めて飾り付けをしたり、おせち料理を作ったりするのは、年神様をお迎えするための習慣が今に受け継がれているからなんですね。
最近は、新年早々、デパートが営業していたり、家族で海外旅行を楽しむ家庭があったりと、以前のように厳かに年神様をお迎えするという雰囲気ではなくなってきましたが、生活や仕事に区切りをつけて、希望を持って新しい年を迎えるためにも、お正月の習慣は大切にしていきたいですよね。

私は、お正月の習慣とは、年神様を迎えるための大事なマナーであると同時に、生活にメリハリをつけて、心豊かに一年をスタートさせるための家族や自分へのマナーだとも思うのです。そこで今回は、お正月を気持ちよく迎えるための、家の整え方=「住」のしつらえについてお話しますね。
マナー語録
お正月を祝う「しつらえ」で、家族に“ハレの日”を
門松やしめ飾りで年神様をお出迎え
お正月には、家の外に門松やしめ飾りを飾りますね。これは、年神様をお迎えするための大切な印。一つ一つに込められた意味を理解して、大切に飾ってくださいね。

■門松
昔はどの家庭でも、山から松や竹を切り取ってきて、門柱に門松を立てました。これは、年神様をお迎えするための“よりしろ”の役割をしています。今風にいうと、年神様への「ウエルカムボード」といったところでしょうか。松は、いつまでも緑のままでいるところから繁栄の象徴とされ、竹は、すくすくとまっすぐに伸びる力強さから、縁起の良い木とされているんですね。

■しめ飾り
最近の住宅事情から、門松よりもしめ飾りを飾る家庭のほうが多くなってきました。しめ飾りは、神様の聖域を示すしめ縄に、奉書紙や半紙などで作った「しで」を垂らして、ウラジロやユズリハ、葉つきのダイダイやエビなど、縁起物を結わえつけたしめ縄のことで、玄関の正面などに飾ります。ちなみに、しめ飾りに使われる縁起物には、昔からいろいろな願いが込められているんですよ。

・ウラジロ(裏白)=常緑のシダ植物。裏が白いところから「裏表がない」「清浄」という意味に。
・ユズリハ(譲葉)=常緑の高木。新しい葉が出ると古い葉が落ちるところから「子孫繁栄」の意味に。
・ダイダイ(橙)=常緑で冬でも実が落ちないところから「家系が代々栄える」という意味。
・エビ=腰が曲がるほどの長寿という意味。

最近は、干支の飾り物をつけたものや布細工のものなど、たくさん種類が出ているので、選ぶのも楽しいですね。
また、門松やしめ飾りを飾るのは、12月26日〜28日、30日です。29日は九=苦に通じるので、縁起が良くないとされていますし、31日は「一夜飾り」といって、「一晩で飾り付けをする葬儀のようだ」ということで、昔から避けられてきました。ですから、門松やしめ飾りは早めに用意して、新しい年に備えてくださいね。
ちなみに、門松やしめ飾りは、松の内が終わる1月7日まで飾っておきます。

時間に余裕のあるときには、しめ飾りを手作りするのもおすすめです。例えば、ホームセンターで飾りの付いていないしめ飾りを購入して、好きな花を飾り付けたり、千代紙で作った鶴や、羽子板や独楽などお正月らしいモチーフの小物をつけたりすると、自分だけのしめ飾りができあがりますよ。さらに、金銀の水引を結びつけるとぐっとお正月らしく仕上がります。お子さんがいらっしゃる方は、一緒に作っても楽しいですね。

家の中をお正月のしつらえに
みなさまは、鏡餅を飾っていますか?私の実家でも毎年飾っていますが、小さい頃、鏡餅が飾られると「もうすぐお正月!」という気持ちになって、とてもワクワクしたことを思い出します。
そもそも鏡餅とは、年神様へのお供え物。昔から鏡には魔除けの力があると信じられていて、円形をしているところから、玉=魂の象徴とも考えられてきたんですね。正式には、三方にウラジロやユズリハを敷き、その上にお餅を重ね、串柿や伊勢海老、ダイダイなどを飾ります。鏡餅は神棚や床の間などに飾りますが、床の間がないお家では、サイドボードや飾り棚の上など高い場所に置いてくださいね。
鏡餅は1月11日に鏡開きを行い、お汁粉などにしていただきます。その際、大切なお供え物を刃物で「切る」ことはしないで、“運を割り開く”という意味から、木槌で割るのが習わしとなっているんですよ。鏡開きは、神様から幸せを分けてもらうための伝統なので、家庭でもぜひやってみてくださいね。私も来年のお正月には、家族で鏡開きをしたいと思っています。

部屋の中も、お正月らしくしつらえましょう。床の間に新年にふさわしい書画を掛けたり、生け花や香炉、屠蘇器(とそき=おとその器セット)を飾ったりすると、改まった雰囲気になりますね。床の間がない場合でも、お正月用にアレンジした生花を玄関やリビングなどに飾るだけで、お正月気分が高まりますよ。松竹梅や千両、水仙などの和のお花がよく使われますが、特に決まりはないので、私は洋風のお花を生けることもあります。おめでたい色を意識した紅白のバラや、白いカラーなどを組み合わせて、モダンにアレンジしてもおしゃれですよね。また、わざと和食器に生けたり、水引をあしらったりすると、お正月らしさがプラスされますよ。

門松やしめ飾り、鏡餅などのお正月の習慣には、それぞれに意味が込められています。それは、私たちの先祖が年神様に幸福や長寿を祈り、子孫繁栄を願って、“ハレの日”を大切にしてきた証のようなものかもしれません。今年はぜひ「住」のしつらえで“ハレの日”を演出して、ご家庭のスタイルを楽しみながら、新年をお祝いする準備をしてくださいね。また、お子さんがいらっしゃる方は、一緒に用意をしながら、ぜひお正月の意味を説明してあげてくださいね。

さて、次回はお正月の「食」にスポットを当ててお話したいと思います。おせち料理、お雑煮の意味や、いただくときのマナーについてお話しますので、どうぞお役立てください。

みんすまスタッフが聞く!こんな時のマナーって?
Q:
飾り終わったしめ飾りは、いつ頃、どのように処分すればいいのでしょうか?
A:
松の内が終わる1月7日(地域によっては15日)に取り外し、できるだけその日のうちに燃やすのがしきたりとされています。神社などで“お焚きあげ”として焼いてもらえるので、問い合わせてみてくださいね。
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