暮らしに装いを エレガントマナー
マナーコーディネーター 住友淑恵
1977年生まれ港区在住。有限会社セレブスタイル(マナー教室)を設立。現在サロンでのレッスンや企業研修、講演、トークショー、TV雑誌メディアへの出演も多数。 ◆このブログでは、毎日をもっと豊かにするための、簡単で楽しいマナーのノウハウをご紹介します。
浴衣で日常を“ハレの日”に
2008年08月14日
浴衣は、日本のカジュアルウエア
みなさま、こんにちは。住友淑恵です。

前回は、夏の装いのTPOについてお話をしました。その中で、少しだけご紹介した浴衣について、今回は浴衣を着る際のマナーや振る舞い方など、いろいろとお話をしたいと思います。

浴衣が登場したのは平安時代。蒸し風呂を習慣としていた貴族が、やけどをしないようにと着ていた「湯帷子(ゆかたびら)」が起源だといわれています。江戸時代に入って、銭湯での入浴習慣が一般的になると風呂上りに着るようになり、呼び名も「ゆかたびら」から略されて、「ゆかた」になりました。湯上りに浴衣を着て夕涼みし、そのまま就寝。浴衣はバスローブ、そしてパジャマとして、昔から一番ラフな服装として日本文化の中にあったんですね。

洋服文化の現代、夏の風物詩となった浴衣は、ちょっと特別な装いという感じがするかもしれませんが、やはり今でも着物の中では一番ラフな装いです。フォーマルな席に着ていくことはマナー違反になるので、気をつけてくださいね。
マナー語録
浴衣のマナーは、美しさ
ここ数年の浴衣ブームで、浴衣を着ている人をいろいろな場面でお見かけしますが、一番気になるのが着崩れです。浴衣のマナーで一番大切なのは、「美しく着ること」。これは、女性だけでなく、男性も同じですよ。着物の着崩れは、だらしなく見えるものですが、ラフな装いである浴衣はとくにだらしないという印象を与えます。そうした姿は、周囲の人を不快にしてしまいますよね。まずは、いつでも美しく浴衣を着ていられるように、着崩れの直し方のコツをご紹介しようと思います。
「美しく着る」というマナーのために
着崩れしにくくするには、最初の段階でしっかりと着付けることが一番ですが、歩いているうちに帯が緩むなどして、裾や胸元がだんだんと着崩れてくることがあります。そうなると、いっそのこと帯をほどいて着付け直したい!とも思いますが、出先でそれはなかなか難しいもの。そんなときは、着崩れてきたところをポイントで直しましょう。

まず、着崩れが多い胸元。最初はピシッとしていた襟がぶかぶかとしてきて、はだけてくることがありますね。その場合はもう一度、襟を引き直しましょう。

女性の場合、このときのポイントは脇の下の身八つ口です。イラストのように、身八つ口に左手を入れて下前の襟を引きます。次に、右手で上前の襟も軽く引き、帯の下に出ている上前のおはしょりの端を引っ張ります。あとは、ちょっと胸元を整えて出来上がり。男性の場合は、身八つ口とおはしょりがないので、下前と上前を胸元と帯の下で引っ張って直してくださいね。

そして、胸元に並んで、着崩れの多いのが裾。着付けのときには、着崩れしにくいように裾をややすぼめるようにしますが、歩いているうちに広がってきてしまうことがあります。このときのポイントは、帯の下に締めている腰紐です。

女性の場合は、まず帯の下あたりで上前とおはしょりを持ち上げ、下がった下前を引き上げて腰紐へ入れ込みます。次に、上前を引き上げて腰紐の上へ入れ込み、最後におはしょりを整えます。男性の場合は、おはしょりがないので、下がった下前を引き上げて腰紐へ入れ込み、次に上前を引き上げて腰紐の上へ入れ込めばOK。女性も男性も、できればここで腰紐を締め直すと、その後も着崩れがしにくくなりますよ。

浴衣は、「着崩れて当たり前」と思って、大きく崩れてしまう前に、こまめに直すことが大切です。とはいえ、すぐに直せなかったり、なかなか上手くいかないこともありますよね。そんなときのために、私は着崩れお助けグッズとして、安全ピンとハンドタオルをバッグに入れて出かけます。安全ピンは、着崩れをおさえるために、応急処置として表から見えないようにとめます。それから、タオルは帯が緩んでしまったときに、折りたたんで帯の下に入れます。これで緩みが解消。とくに、帯の緩みは出先で直すことが大変なので、このタオルが重宝します。

女性はしとやかに、男性は堂々と
美しく着ることがマナーの浴衣。振る舞い方も重要です。女性も男性も、まずは背筋を伸ばして、姿勢を良くすることが基本です。

女性の場合ですが、歩くときはやや内股の小股歩きで。歩幅は10cmくらいがちょうどいいと思います。このとき、草履は引きずらないように気をつけましょう。また、車に乗ることがあったら、“つま先は離さない”という言葉を思い出してください。乗車するときは、まずお尻から入って座り、つま先を揃えて両足を一緒に入れます。降りるときはその逆になります。お尻を軸にくるっと回転するのがコツですよ。着物のときは、できるだけ顔より上に手を上げないことがベストですが、電車に乗るときなどは、つり革につかまらなければならないときもありますね。その場合は、袖口をつまんで腕が丸見えにならないように気をつけましょう。こうして振る舞いに注意することは、姿を美しく見せることはもちろん、着崩れをさせないためでもありますので、是非、心がけてくださいね。

男性の振る舞いについては、実はとくに大きな注意点はありません。 背筋を伸ばして、堂々と振る舞えばOKです。なぜなら、男性の浴衣は、“かっこよく着崩す”ことが粋とされているからなんですね。着ているうちに、胸元や裾がほどよく緩んで体になじんだ状態、これがちょうどいいと思います。ただ、着崩しすぎて、はだけてしまったりするのはNGです。状態をまめにチェックして、ちょっと着崩しすぎたかな、と思ったら直してくださいね。少し面倒かもしれませんが、それが粋なかっこよさにつながります。

ブームとして注目されている浴衣ですが、これをきっかけに多くの方が、日常に“ハレの日”を作っていただけたらうれしいです。

さて、次回は引越しをテーマにお届けします。出会いと別れがある引越し。その際のご挨拶などについてお話しようと思っています。どうぞ、お楽しみに!
みんすまスタッフが聞く!こんな時のマナーって?
Q:
浴衣には下着をつけないという話を聞きましたが、下着をつけることはマナー違反ですか?
A:
いいえ、マナー違反ではありませんよ。もともと、湯上りに着るものだったので、そういったことが言われるようです。身だしなみという点からも、下着はつけたほうがいいかと思います。ただ、浴衣の色や素材によっては透けてしまうことがあるので、その点は注意してくださいね。
Comment
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1. | 投稿者: 夕陽
2008年08月16日

数年前までは、夏祭りや花火大会には浴衣を着るのが楽しみでしたが、ある年に、暑さと人混みで気分が悪くなってしまった経験をしてから、浴衣を着ていません。
でも、今回のコラムを拝見して、やはり夏は浴衣は風情があってよいもの、着こなしや、着崩れた時の直し方もわかったので、今年はぜひ着てみたいと思いました。

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