「ブルーモーメント」とは、西の空に太陽が沈んだあと、その反対側の東の空から青い光に包まれていく現象をいいます。北欧ではこの現象が2時間も3時間も続くのですが、私たちの住む日本では、ブルーモーメントを体験できる時間は、ほんの10分くらいとなっています。しかし、注意していればこの美しい青の時間の訪れに毎日のように立ち会うことができて、「今日のブルーモーメントは、なかなか透明感があるなぁ」なんてコメントもできるんですよ。
光の波長が引き起こす、空の色の変化
さて、この現象はどうして起きるのでしょうか?まずは、それを解説しておかなければなりませんね。
太陽の光とは、プリズムで分光すると、波長の短いほうから「紫」「青」「青緑」「緑」「黄」「オレンジ」「赤」という順番にスペクトルが出現します。つまり太陽の光は、こうしたさまざまな色の光がすべて混じり合って、白い光となっているわけなのです。
ブルーモーメントの光が青いのは、地平線の彼方に沈んだ太陽が大気(空)を照らし、その反射光が地表に降り注いでいるからなのです。太陽の光が地平線の向こうから長い長い距離を通って、しかも大気圏で拡散反射を起こすときに、「赤」「オレンジ」「緑」などの長い波長の光は吸収されてしまい、残った青い光のみ地上に届いてくる・・・という原理によるものなのです。
「ブルーモーメント」から始まる、ヨーロッパの生活情景
コペンハーゲンやブリュッセル、フランクフルトなど、ヨーロッパの街に旅行をするとブルーモーメントの時間がとても大切にされていることに気がつきます。
デンマークやベルギー、ドイツなどの国々では、法律をもって労働時間に対する厳しい取り決めが行われているため、日没時刻の夕方6時には仕事を終えなければなりません。
これは日本とはだいぶ異なった状況です。彼らがオフィスを出て、家路を急いだりショッピングをしたり(コペンハーゲンでは物販店も18:00には閉まってしまいますが)、レストランで食事を楽しんだりするときは、まさにブルーモーメントが現れる時間帯なのです。
こうした街の様子を見ていると、この時間からプライベートな時間が始まるんだなぁ・・・という感じがします。いわば、夕暮れは昼の終わり、「ブルーモーメント」は夜の始まり、ということになるのでしょうね?
1日の始まりは朝? それとも夜!?
話は変わりますが、私たちは一般的に「1日の始まりは朝だ」という考えをもっていますよね。しかし実は、日本には古くから「1日の始まりは夜からだ」という説もあることをご存知でしょうか?
民俗学者の柳田国男さんの研究によると、全国各地で行われる祭りの初日が夜から始まることや、『今昔物語』では昨夜の出来事のことを「今夜」と表記していることなどから、1日の始まりは夜からなのだと考えられていたことがわかるそうです。
また、古来より中国やエジプトでは、1日の始まりは朝ではなく夜だとされていたといいますし、アラブの社会では今もなお、1日の始まりは夜だとされているのだそうです。みなさんはこの「1日の始まりは夜からだ」説、どう思いますか?
「ブルーモーメント」を意識する、一味違う1日の過ごし方
夜は“残った時間”ではなく“素適な時間”と考えて
私はずっと以前から、1日は夜から始まる「夜先昼後論」というものを提唱しているのですが、そう考えることによって夜が1日の中の“残った時間”ではなくて、これから楽しいことが始まる“素適な時間”となるのです。
今夜は仲間とテニスをしようとか、老舗の居酒屋で一杯やろうとか、早めに帰宅してじっくりとホームシアターで映画を見ようとか、街のイルミネーションを楽しもうとか・・・夜が始まる時間である「ブルーモーメント」という言葉には、夜にこそ訪れるワクワクした時間を楽しもうというポジティブな考え方があるのではないでしょうか?
そんなふうに考えてみると、毎日の生活の流れが一味違ったものとなり、より豊かで楽しいものになっていくような気がしますね。
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三井の住まいへ
名古屋市に勤務。2月から3月の初旬、夕方6時10分頃、東の空に「ブルーモーメント」。街灯のオレンジの光とともに「我を忘れる」美しさでした。以来、夕方になると空を見上げています。