昔から、ロンドンの時を刻み続けてきた時計台ビッグ・ベン。
中近世からその面影を残す街並みに、パブのにぎわい。そして悠久の流れをたたえるテムズ川・・・。
街全体が歴史遺産のようなロンドンは、古き良きものたちの宝庫。
そんな中、映画でブリジットが暮らす街として選ばれたのが、テムズ川南岸のサウスバンク地区です。
どんなに恥ずかしい失敗をしても、笑い飛ばしちゃう三枚目ヒロインとして多くの女性の共感を呼んだブリジットは、庶民派OLの代表的な存在です。
実は、原作小説ではノッティング・ヒルに住んでいるブリジットですが、90年代以降ノッティング・ヒル周辺は地価が上がり高級住宅街に。
そのため若者たちは、より住みやすいサウスバンクに流れました。
かつてはあまり治安が良くない地区でしたが、現在では倉庫街を改装したおしゃれな店が並ぶ新たなアート・スポットとして生まれ変わっています。
ロンドンでは珍しく、近代的な高層ビルが建てられる場所でありながら、昔ながらの下町風情が残る街。
もちろん家賃も手ごろ、というわけで映画は、主にこのサウスバンクを舞台に描かれているのです。
ブリジットが暮らすのは、1ベッドルーム・タイプのフラット。
寝室、キッチン・ダイニング、リビング、バスルームといった間取りのシングルトンが住む典型的な賃貸フラットです。
しかも線路の近くでパブの上…という環境的にはちょっと悪い条件。
駅に近くても、ちょっと家賃が安くなる、そんな庶民感覚が住まいの条件からもうかがえます。
ブリジットにとってフラットは、本当の自分に戻れる場所。
親戚や既婚者の友人たちにイヤミを言われても、笑って聞き流すブリジットですが、この部屋は誰の目もはばからず「独りぼっちだ!」と泣き叫ぶことができる唯一の場所なのです。
そんなブリジットの部屋は、ブルーのドットの壁紙や赤いソファ、アンティーク調のランプなど、英国カントリー調でどことなくガーリーな雰囲気。
ムードよりも、居心地の良さを重視した部屋で、生活感たっぷりです。
大きなソファは、ごろりと横になってテレビが見られるベストな位置にスタンバイ。
ソファの横のテーブルにはモノがあふれ、メイクや書き物は床で・・・というところからも、仕事や遊びで朝から晩まで忙しいブリジットの生活スタイルや、細かいことを気にしない大雑把な性格が見て取れます。
ちなみに、ブリジットが自分の誕生日パーティーの食材を買いに訪れたのは“ロンドンの台所”として有名なバラ・マーケット。
安くて、いい物が手に入るこのマーケットを活用している姿からも、あくまで庶民的なロンドンOLの日常を察することができます。
庶民生活を代表するようなブリジットの暮らしと対照的なのが、彼女が恋に落ちる上司のダニエルの住まい。
彼が住んでいるのはテムズ川沿いの高級物件です。
そこはロフトを改装し、内装を白で統一したモダンなマンション。
いったい何部屋あるんだろう…というくらいの広さで、メゾネット形式になっています。
壁一面に備え付けられた本棚に、美しく並べられた本は、あまり使ってなさそうな雰囲気…確かに見かけは完ぺきだけど、生活感がまるでないダニエルそのものを表すような部屋です。
このようにサウスバンク地区には、庶民的なフラットがある一方で、川沿いには月100万円はくだらない高級マンションが、新しい地位の象徴として人気を呼んでいます。
昔ながらの古いレンガ造りの街並みと、モダンな建物が共存するサウスバンク地区は、古き良きロマンティックと、現代的で理性的なモダンを感じる場所です。
そこから毎朝、タワー・ブリッジを渡って会社に向かうブリジット。
新しい恋に躍動する時は、すがすがしく思えたテムズ川の風も、恋に破れた時に受けると、痛くて、しみる…。
住まいだけでなく、彼女が暮らす街の風景から、シングルトンの暮らしを感じ取ってみてください。
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