
| 坂本美香子 |

個室が居間の家
辞典によれば、居間とは「家族がふだん居る部屋」である。では居間以外の個室は、ふだんはいない部屋となる。決して広いとは言えない日本のマンション住戸内を、ふだんいる居間とふだんいない個室に分け、どちらか一方は使われていない空間があるというのが一般的な住戸の間取りである。もったいない。
家族それぞれの個室が、ふだんいる居間でもある住空間を考える。
隣接する居室の界壁にも窓を設ける。全ての居室が窓を介して見通せる一体の空間が生まれる。それぞれの個室にはそれぞれの主がいて、一人ぼっちでいることも、父と子が、母と子が対話をすることもある。
子は親の小言がうるさい時、親は静かな一時を過ごしたい時、冬の冷たい風を遮るかのように窓を閉めてしまうこともあるだろう。ただし住まいも親子も風通しがよいのが一番である。
外の季節は巡っても、住まいの中では一年中窓を開け放していられる穏やかな季節が続いてもらいたい。
